【安田記念】充実マッジョーレG1仕様

 「安田記念・G1」(6月2日、東京)

 前哨戦の京王杯SCを制したダイワマッジョーレが29日、栗東坂路ではつらつとした動きを披露。併せ馬で追走先着を果たし、目下の充実ぶりをアピールした。昨年暮れからメキメキと頭角を現し、前走で重賞初制覇。G1は初挑戦となるが、今の勢いがあれば07年の覇者で父のダイワメジャーとの父子G1制覇も夢ではない。厩舎の先輩で昨年2着のグランプリボスも、栗東坂路でパワフルな動き。3つ目のマイルG1奪取へ、万全の態勢で臨む。

 筋骨隆々の巨漢馬が出そろった、春のマイル王決定戦。スピードだけではなく、パワーも求められるG1の戦いで、430キロ台と小柄なダイワマッジョーレはかなり異質の存在だ。父のダイワメジャーは、07年に532キロの馬体でこのレースを制覇。筋肉量が多いほど有利なマイルG1を勝ち抜くため、陣営は最終追い切りもギリギリの線で攻めに攻めた。

 朝一番の栗東坂路。僚馬のカネトシリープイン(5歳1000万下)を追走し、しまい重点に脚を伸ばした。ラスト1Fで鞍上が左ステッキを一発放つと、重い馬場に脚を取られながらも、ストライドを大きく伸ばして力走。計4発の叱咤(しった)に応えて、ゴール前は半馬身ほど先着を果たした。

 4F52秒9‐38秒2‐12秒7。感触を確かめた安藤助手は、期待通りの動きに納得の表情を浮かべた。「輸送前だし、イレ込みの心配はあるが、今回はG1。できる限り攻めました。その分、1週前追い切りをソフトにしておいたし、馬の方もよく理解していた。久々にグッと来るものがありましたよ」。ゲート練習も施して、まさに“G1仕様”。重賞初Vを果たした前回から、さらに仕上げの精度を高めた。

 見守った矢作師も満足げ。「後ろから行って、ゴール前で抜け出すような感じで。(1番人気で勝った前走の)京王杯SCのように、しぶとく伸びてくれた。以前よりも追ってからの“味”が出てきた」。前走後の過程は「1週間は回復、次の1週間で状態を上げて、最後の1週間で仕上げる」の思惑通り。中2週のローテのなかで、ベストの調整を施した。

 2000メートルの金鯱賞で2着の実績。「千四は不安だった。マイルの方がいいのは確か」と指揮官は1F延長を歓迎する。前哨戦をモノにして、ついに頂点が見えてきた。「兄貴分(グランプリボス)もいるが、本当に伸び盛り。プレッシャーよりもワクワクしている。この後は夏休みの予定。いい競馬をしてほしいね」。柔よく剛を制す。小兵が巨漢馬をなぎ倒す。

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