「宝塚記念・Ｇ１」（２３日、阪神）

　天皇賞・春２着のトーセンラーが、ドリームレース（宝塚記念＆有馬記念）で史上最多の６勝を挙げている武豊とのコンビで参戦。〈２・１・２・０〉と複勝率１００％の相性の良さを武器に、悲願のＧ１初制覇を目指す。鞍上は同じディープインパクト産駒のキズナで今年の日本ダービーを制覇。上半期を締めくくる春のグランプリも、武豊＆ディープ産駒に目が離せない。

　ファン投票１位のオルフェーヴルが出走を回避したことで、春のグランプリは“４歳のＧ１馬３頭の争い”に注目が集まっている。だが、この状況を今年のダービージョッキーが指をくわえて見ているはずがない。武豊が３強ムードに待ったをかける。

　パートナーのトーセンラーは、今季の充実ぶりが目覚ましい。コンビ再結成となった２月の京都記念で２年ぶりの勝利を手にすると、続く天皇賞・春では見せ場十分の２着に善戦。「２強（ゴールドシップ＆フェノーメノ）ムードだったけど、手応えはあった。いいレースができたと思うし、この馬自身、強くなっている。全体的に力強さが出てきたし、精神面も強くなった。成長しているんじゃないかな」。敗れはしたが、一角を崩して存在感を示した。

　激戦の疲れも癒えて、調整は順調に進んでいる。１２日の１週前追い切りは、栗東ＣＷでローマンレジェンド（５歳オープン）と併せて６Ｆ８０秒９‐３８秒２‐１１秒８をマーク。ダートのＧ１馬に追走先着を果たして「内を回ったけど、時計も動きも良かった。ちゃんと手前も変えていたしね。いい感じできていますよ」と納得の表情を浮かべた。

　自らが手綱を取ったディープインパクトの子。「よく似ている」と常々口にする。コンパクトなボディーから繰り出される“一瞬の切れ味”は父譲りだ。梅雨の季節だけに「良馬場でやりたい」と願うが「この時季としては（阪神の芝は）雨に当たっていない。馬場状態がいいのはこの馬にとっていいね。相手は強いけど、どこまでやれるか楽しみ」と期待を込める。０６年に父が圧勝した舞台で、名手が史上３組目の父子制覇へと導く。