【七夕賞】横山典モンテエンで連続Vだ
「七夕賞・G3」(7日、福島)
名手が再び福島でその技術を見せつける。先週のラジオNIKKEI賞で8番人気ケイアイチョウサンに騎乗し、見事なイン突きでVへ導いた横山典弘騎手(45)=美浦・フリー。七夕賞ではモンテエンと初コンビを組む。魅せる競馬をモットーとする職人から今週も目が離せない。
みちのくの競馬ファンが横山典の手綱さばきに酔いしれた。先週のラジオNIKKEI賞で見せた名人芸は、まさにノリの真骨頂。ケイアイチョウサンを4角までジッとインで待機させ、直線で極上の切れ味を引き出した。
「死んだふりをしていたから。そこまで人間が邪魔をしなかった分、脚もたまった。馬のリズムを大事にした結果」。発言には常にブレがない。馬本位のスタイルが最高のパフォーマンスにつながることを経験豊富な名手は知っている。「勝つだけじゃない。“魅せて”勝つことも重要じゃないかと思う」。言葉通り、見る者のハートを奪う鮮やかな勝利だったと言える。
2週連続の重賞Vに挑む今週はモンテエンとコンビを結成。管理する松山康師は来春に定年を迎える。父で同じく調教師だった故・吉三郎氏から付き合いがある横山典にとっては、思い入れの深いトレーナーだ。「先代からお世話になっている。(松山康師は現在、通算991勝で)1000勝までもう少し。今回で勝ち星を積み重ねることができれば」。人情を大事にする45歳は静かに闘志を燃やす。
最終追いにまたがり、状態面は確認済み。「3週前に乗ったときよりも良かった」と上昇カーブを口にした。「俺たちの仕事はいいレースをすること。それが何よりのファンサービス」。今週も職人が卓越した技術で大歓声を独り占めにする。