【新潟2歳S】ハープスター重賞初制覇
「新潟2歳S・G3」(25日、新潟)
1番人気のディープインパクト産駒ハープスターが直線一気の競馬で重賞初制覇を成し遂げた。道中は最後方に待機し、直線に向くと、極上の末脚を繰り出した。後続に3馬身差をつける圧勝劇で無傷の2連勝。来年のクラシック有力候補に名乗りを上げた。2着には直線でしぶとく脚を伸ばしたイスラボニータ、3着にはピークトラムが入った。
新潟競馬場に衝撃が襲った。ハープスターが残り400メートル、最後方18番手から大外一気の差し切りを演じた。常識では考えられない勝ち方。上がり32秒5は千六になった02年以降、優勝馬の最速タイムだ。
ディープインパクトはこれまで5頭のG1牝馬を送り出した。牝馬3冠、ジャパンC優勝のジェンティルドンナをはじめ、マルセリーナ、アユサン、ヴィルシーナ、ジョワドヴィーヴル。まだ2戦2勝のキャリアながら、彼女たちよりも父に似たムードがある。
川田は「前半は全く進んで行かず、馬のリズムに任せてあの位置に。直線に入っても進まなくて焦ったが、加速してからはいい走りでした。この勝ち方だから、先々はもっと大きいところを目指せると思う。何より無事に行ってほしい」と想像以上の勝ちっぷりに夢を膨らませる。
祖母の2冠馬ベガは、ハープスターの母ヒストリックスター1頭しか牝馬を残せなかった。吉田勝己ノーザンファーム代表は「ベガの忘れ形見が、素晴らしい子を産んでくれた。強さは見ての通りでしょう」と満面に笑みだ。
全兄のピュアソウルは気性難が災いし、500万下条件で足踏みしている。ハープスターは兄とは性格がまるで違う。ベガも管理した松田博師は「祖母ほどではないが、この馬もおとなしい」と言う。
決して早熟ではない。「まだ腹が出ていて競走馬の体形じゃない。もう少したてばバランスも良くなるだろう。伸びしろはあるだろうし、そうでなくちゃ困るわな」とトレーナー。とてつもない可能性を秘めたシンデレラガールの誕生だ。