【小倉2歳S】勇退の田島良師は自然体

 「小倉2歳S・G3」(9月1日、小倉)

 伸び盛りの素質馬が一気に小倉2歳王者の座を狙う。ベルルミエールのデビュー戦は、コーナーでフワフワする面を見せながらも、2馬身半差で完勝。その後はこの一戦を目標に調整され、状態も上向いている。同馬を管理する田島良保調教師(65)=栗東=は9月20日付で勇退。残りわずかな競馬人生のなか、06年小倉大賞典のメジロマイヤー以来、約7年半ぶりのJRA重賞制覇を決める。

 いよいよカウントダウンに入った。ベルルミエールを送り出す田島良師は、健康上の理由で9月20日付で勇退する。65年に騎手候補となって以降、約半世紀続いた競馬人生も残り1カ月を切ったが「早くから決めていたことだし、特別な感情はないよ」と、あくまで自然体を貫く。

 騎手としては71年にヒカルイマイで皐月賞、ダービーを制すなど、JRA通算817勝の輝かしい成績を残し「必殺仕事人」の異名を取った。調教師に転身して93年に開業。27日現在でJRA通算292勝(うち重賞5勝)を挙げている。01年の大阪杯では、管理馬のトーホウドリームが、当時最強と言われたテイエムオペラオーを負かした。

 「ジョッキーのころから平常心を心掛けていた。周りが力んでも良くないし、馬の状態と相談しながらやってきた」と指揮官は振り返る。そして今回、「条件がそろえばチャンスはある」と期待するのがベルルミエールだ。初戦は随所に幼さを見せたが、エンジンがかかってからは鋭く伸びて一気に突き抜けた。「勝ってからも順調。ただ、強い馬と時計ひとつ違うからね。展開の助けは必要だな」と冷静に分析する。

 手綱を取るのが自身の娘婿の川島というのも何かの縁だろう。鞍上も「厳格な方で、いろいろなことを教えていただき、感謝の気持ちでいっぱい。いい形で締められれば」と恩返しに向けて力を込める。師も「ケガもなく、自分のやれることをやり、最後まで精いっぱいに競馬をする。それが一番」と言い切る。馬名の由来は“美しい光”。残りわずかな競馬人生のなか、愛馬とともに新たな栄光をつかんでみせる。

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