【凱旋門賞】オルフェ状態は最高潮
「凱旋門賞・仏G1」(6日、ロンシャン)
ついに歴史が動く。昨年2着の雪辱を期すオルフェーヴル(牡5歳、栗東・池江)、同年の日本ダービー馬として初挑戦となるキズナ(牡3歳、栗東・佐々木)が5日、無事にレース前日の最終調整を終えた。最大のライバルと目されていたドイツのノヴェリストがこの日、熱発により取消。過去91回で欧州調教馬以外の勝利はない。日本が誇るツートップが、その牙城を崩す瞬間は刻一刻と近づいてきている。
歓喜が一瞬にしてぬか喜びに変わったあの日から1年。決戦を翌日に控えたオルフェーヴルはリヨンの坂路で6Fを2本。万事順調、大一番に向けて計画通りに調整をこなしきった。池江師も「この1年、早かったなという感じ」と感慨深げだ。
状態は最高潮にある。「レース前日だけにエキサイトはしているが、折り合いもついていた。コントロールが利きやすい精神状態。全てがうまくいっている」。仕上げに一片の曇りもない。
昨年の悔しさを今こそ晴らす時。そんな陣営の、いや日本の期待を、スミヨンとコラム専属契約を結ぶ仏競馬専門紙ティエルセ・マガジンは1面で端的に表した。「ラ・ルヴァンシュ(さあリベンジだ)」‐。同紙の独占インタビューでスミヨンは「計算はできている。ボクのパートナーには桁外れのポテンシャル、ほかの馬にはない何かがある」と自信のほどを披露。「特に最後の1Fの加速能力は本当に唯一無二だね。調整過程も目的に向かって順調にこなしてきたし、ボクとしても昨年、みなさんを失望させてしまった原因が何かをつかんだと思う」と手応えを伝えた。
強敵ノヴェリストが直前で取消。「組み立てやすい目標にできる相手だったからね。考え直します」と残念がった池江師だが、すぐに表情を引き締め、自信を誇示するかのように言い放った。「これで17頭。“16対1”になったね。歴史的瞬間を一緒に共有しましょう」‐。悲願達成へのピースは、ひとつひとつ着実に埋まりつつある。