【凱旋門賞】キズナの再挑戦ユタカ意欲
「凱旋門賞・仏G1」(6日、ロンシャン)
世紀の瞬間は訪れなかった。日本馬ツートップのチャレンジから一夜が明けた7日、両馬は軽めの運動を消化。ともに大きなダメージは見られなかった。4着に敗退したキズナの次戦は未定。武豊は来年の再チャレンジを強く希望した。
状態は完璧で、レース運びも理想的。しかし世界の頂は遠かった。キズナの挑戦は4着に終わった。渡仏して約1カ月。調教拠点のシャンティイで結束して、いつもにぎやかに食事をしていたスタッフも、レース後の残念会だけは初めて静かな晩さんとなったという。
それでもタフなレースのなか、体調に異常が見られないのは幸いだ。「思ったほどの疲れはないようで元気にしています。けさのカイバも完食でした」。決戦から一夜が明け、7日は引き運動を45分。田重田厩務員はいつもと変わらない姿にホッとした表情を見せた。
「また来年ここに来ましょう」。キズナから下馬した武豊は開口一番、うつむかずに前を見据えた。分厚い壁を、この馬なら乗り越えられる手応えをつかんだ。レース後に佐々木師は「今後はノープラン。来年の凱旋門賞?今は考えられない」と語ったが、まだ3歳。貴重な経験を糧にするチャンスは十分にある。
8日にシャンティイからアムステルダムへ移動し、1泊したあと9日に出国。10日に帰国する。「強さを改めて感じた。すごい馬。もう1度ここでキズナに乗りたい」。名手の言葉が関係者の心情を代弁しているのではないか。今後はジャパンC(11月24日・東京)で世界の強豪を迎え撃つのか、それとも有馬記念でオルフェーヴルと再戦し世代交代を狙うのか。帰国初戦に注目が集まる。