【南部杯】後藤エスポ逃げて連覇!
「南部杯・交流G1」(14日、盛岡)
JRAから参戦の2番人気エスポワールシチーが鮮やかに逃げ切り、2着ホッコータルマエに1馬身半差をつけ1分35秒1のタイムで優勝。昨年に続く連覇で、ブルーコンコルドに並ぶ最多タイの3勝目を挙げ、G1勝ちが8勝に伸びた。鞍上の後藤浩輝(39)=美浦=は、5日の東京開催で約1年1カ月ぶりに復帰したばかりで、うれしい勝利となった。
後藤が、エスポワールシチーとともに北の大地で躍動した。落馬で頸椎(けいつい)骨折などのけがを負い、昨年9月から休養。今月5日に384日ぶりに戦線復帰した男が、見事なエスコートでパートナーを連覇へと導いてみせた。
「僕が初G1を獲ったのが00年の南部杯。再デビューの気持ちで乗りました」。後藤はこう話すと会心の笑みを浮かべた。
今回がエスポワールシチーに初騎乗。この馬の主戦騎手だった佐藤哲が同じく落馬負傷で戦列を離れているために、訪れた騎乗機会だった。「佐藤騎手だったらどう乗るか。エスポに聞きながら乗りました」。そして、選んだ戦法はやはり、スピードを生かした逃げだった。
常に内々を意識した。1番人気に支持されたホッコータルマエに終始マークされる展開だったが、楽な手応えで最終コーナーをまわった。そして最後は逆にライバルを突き放して栄光のゴールへ。復帰後初のG1勝利を手にした男は「佐藤騎手をまねしました」と右手を挙げるガッツポーズ。場内は“ゴトオー”コールに包まれた。
「病室でもファンの人の応援は届きました。レースでは歓声を肌で感じ、もっと直線が長いといいのにと思いました」。レースを振り返った表情は、実に晴れ晴れとしていた。苦難を乗り越え、止まっていた時間が今、静かに動き始めた。