【天皇賞】フラッシュ精神面で急成長
「天皇賞(秋)・G1」(27日、東京)
昨年の覇者・エイシンフラッシュは23日、栗東CWで躍動感にあふれる動きで首差先着。前哨戦の毎日王冠V後も、さらに状態は上昇カーブを描いている。史上2頭目の連覇へ向けて視界は良好だ。サマー2000シリーズ覇者で重賞3連勝中のトウケイヘイローも栗東CWを余力十分に駆け抜けた。G1獲りへ向けて好ムードを漂わせていた。
栗東CWの直線。M・デムーロはエイシンフラッシュの背中で息を潜め続けた。先行していたローマンレジェンド(5歳オープン)に余裕の手応えで並び掛けると、抜け出すポイントを探し、首差出たところが、フィニッシュラインだった。6F81秒6‐38秒0‐12秒3。鋭い動きで万全の状態をアピールした。
「反応も良かったですし、とてもいい調教ができたと思います。6歳になって、馬自身が自分で何をすべきなのか、分かっているようです」。天皇賞・秋というタイトルを、ともにつかみ取ってから1年。連覇を狙う立場となった相棒に、イタリアの名手は頼もしげな視線を投げかけた。
藤原英師も成熟してきた内面に言及。「長い間一緒にいますが、精神的にすごく落ち着いてきました。前走(毎日王冠1着)は、疲労の残らない競馬でしたから、回復も早くて調整はしやすかったです」。前年同様の上昇曲線を描いている、と力を込めた。
週末にかけて台風の影響を強く受ける可能性がある。陣営にとってレース当日の馬場は気になるポイントだ。送り出す指揮官は「とても懸念しています」と不安の色を隠さなかった。M・デムーロも「重馬場でも勝っているユタカさんの馬(トウケイヘイロー)が、第一のライバルになるでしょう」と警戒を強める。
ただ、どういう状況になっても昨年の経験が羅針盤になってくれるはず。円熟味を増した6歳馬が狙うのはシンボリクリスエス(02、03年)以来、史上2頭目となる秋盾連覇。「もう一度」が現実へとまた一歩近づいた。