【天皇賞】池江師4本の矢で態勢万全
「天皇賞(秋)・G1」(27日、東京)
24日に出走馬17頭と枠順が確定した。
大将格のオルフェーヴルが不在でもG1・10勝に王手をかける池江厩舎は層が厚い。一昨年の覇者トーセンジョーダン、昨年の有馬記念2着オーシャンブルー、今年の宝塚記念2着ダノンバラード、重賞5勝のトゥザグローリーがエントリー。“4本の矢”でG1奪取を目指す。一方、秋盾で現役最多の4勝を誇る藤沢和師はコディーノとレッドスパーダの2頭出しで記録更新を狙う。なお台風の影響で、関西馬は全て金曜に東京へ移動する。
1着同着というまれなケースを除けば、競馬という競技は勝者以外は全て敗者。秋の盾に大挙4頭を送り込み、優位な立場に思える池江師も、その心中は複雑だ。「できることなら1頭に集中したい。調教師として、同じレースに複数を使うときが一番つらい」。今回もそう。勝利を手にしても、必然的に3頭は敗者となる。素直に喜べない表彰式ほど切ないものはない。
それでも、大舞台に4頭を送り込めるのは陣営の努力のたまもの。11年宝塚記念で既に5頭使いを経験済みだ。「あのときはいい結果を残せなかった。今回はそれ以上に頑張りたい」とトレーナーは前を向く。
追い切り翌日の24日も“4本の矢”は順調そのもの。トゥザグローリーは500メートルの角馬場を4周。ほかの3頭も引き運動を60分、時間をかけて体をほぐした。指揮官は「何の異常もなくきています」と万全の態勢に胸を張る。
台風の影響でレース当日は道悪になる可能性がある。「道悪が歓迎なのはダノンバラード。この馬は悪くなるほどいいですね。トーセンジョーダンとオーシャンブルーは△。トゥザグローリーはいい馬場で走らせたいですね」。各馬、下馬評は高くはないが、状況次第では台頭する場面もありそうだ。“チーム池江”の底力は侮れない。