【エ女王杯】ホエール3度目の正直狙う
「エリザベス女王杯」(10日、京都)
今秋の統一女王決定戦はG1馬が5頭参戦。このレースの出走資格が3歳以上となった96年以降では10、11年の7頭に次ぐ多さだ。人気は2冠馬メイショウマンボにデニムアンドルビーの3歳勢、さらにヴィクトリアマイル優勝の4歳馬ヴィルシーナが集めそうだが、経験豊富な5歳以上の世代も黙ってはいない。昨年のヴィクトリアマイルを制したホエールキャプチャは、府中牝馬S1着後も絶好調。昨年の覇者レインボーダリア、11年桜花賞馬マルセリーナも侮れない。
心身両面の高いレベルでの充実ぶりを背景にホエールキャプチャが三度目の正直を狙う。昨春のヴィクトリアマイルでG1初制覇を飾った後は2桁着順6回を含む7連敗を喫したが、前走の府中牝馬SをV。スローペースの好位できれいに折り合って直線抜け出しと、横綱相撲で完全復活を印象づけた。
田中清師は「去年の夏場に帰厩してからは、ずっと腰の状態が思わしくなかった。今年のヴィクトリアマイル(3走前=2着)くらいからようやく出来が戻ってきたんだ」と説明する。一度スランプに陥った牝馬を立て直すことは並大抵なことではない。前々走の札幌記念こそ極悪馬場が影響して14着と崩れたが、すぐに反撃に転じたのは馬自身の能力と、陣営の努力のたまものだろう。
エリザベス女王杯には3年連続の挑戦となる。昨年(10着)は体調面に加えて苦手の道悪で見せ場をつくれなかったが、一昨年は小差の4着に奮闘。「早く先頭に立ち過ぎて、ちょっとチグハグな競馬だった」と振り返る。この一戦で先着を許したのは、世界的名牝のスノーフェアリーに秋華賞馬アヴェンチュラと、3冠牝馬アパパネ。今年よりも上位馬の層は厚かったとの見方も可能だ。それだけに今度こそ…という意気込みは強い。
鞍上の蛯名もここ2週の追い切りにまたがり、好感触をつかんでいる。「現状では心配な点がなく、与えられたメニューを何事もなくこなしている。大舞台に臨む時は順調なことが何よりだから」。数字的には変わらなくても、全体的に丸みを帯びた体つきが好調キープを雄弁に物語る。
「週末(の京都)は雨が降るみたいだね」と一瞬、顔をしかめたトレーナーだが「稍重くらいまでなら」と前を向く。そして「2200メートルの距離も、ジョッキーの乗り方ひとつでどうにでもなる」と戴冠へ期待を込めた。