【有馬記念】負けない!オルフェ信じる

 「有馬記念・G1」(22日、中山)

 時計も動きも正直言って、この馬にしては物足りない。オルフェーヴルが18日、最後の追い切りを栗東坂路で終えた。格下の僚馬と何とか併入し、4F52秒3‐38秒4‐12秒9。池江師、池添の感触も100点満点とはいかなかった。それでも5冠馬への信頼は揺らぐことはない。たとえ完璧ではなくとも普通に走れば負けない‐。感動のフィナーレへ向けて突き進むだけだ。なお、出走馬と枠順は19日に確定する。

 黄金色の5冠馬が、雨煙る坂路を猛然と駆け上がっていく。オルフェーヴルにとっては、これが現役ラストとなる追い切りだ。池添との呼吸を合わせ、人馬一体となって、4馬身先行させたダノンウィスラー(5歳1600万下)を追走。ゴール直前まで体勢は不利だったが、最後に鼻腔(びこう)拡張テープ(ネーザルストリップ)が貼られた鼻先をグイッと突き出し、併入でフィニッシュを決めた。

 「しっかりやれましたし、先週よりも今週の方が良かった。凱旋門賞がピークだったでしょうし、さすがに過去最高の出来ではありませんが、状態は上がってきているなと感じましたよ」。池添は良化を口にした一方で、奥歯に物が挟まったような言い方をした。確かに動きを見る限り、怪物らしい暴力的なまでの迫力は影を潜めていた。

 時計も4F52秒3‐38秒4‐12秒9と、攻め駆けするオルフェにしては、物足りない数字。池江師も「(ラスト1F)12秒台前半が出てないと。大人になったのか休み明けのせいなのか、動かないようになっている。先週よりはいい方にいっているけど、80点くらいかな」と合格点は与えたが、満点評価まではいかなかった。

 絶好調ではないかもしれない。しかし、池添の自信が揺らぐことはない。「それでも、去年のジャパンC(ジェンティルドンナと死闘を演じて2着)よりはいいですからね。順調ならいいんです」。完璧でなくても力が違う。そう言わんばかりに不安を打ち消した。

 先週の1週前追い切りが行われた日に、わざわざ北海道へと飛び、来年デビュー予定のオルフェーヴル全弟(牡1歳)に対面するなど、有馬記念への気持ちを自ら高めてきた。「僕の騎手人生にとって、財産というか、かけがえのない馬。出会ってくれてありがとう、という思い。しっかりラストランを飾って、気持ち良く引退式を迎えたい」。感謝の念を手綱に込めて、最強パートナーを有終の美へと導く。

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