【京都記念】デスペラード初逃走で金星
「京都記念・G2」(16日、京都)
伝統の一戦を制したのは、人気を二分したG1馬2頭ではなく6番人気のデスペラードだった。デビュー以来初めて逃げの戦法を選択した横山典に導かれ、堂々の押し切りで大金星をゲット。まさに“ノリ・マジック”で重賞2勝目を飾った。連覇を目指した2番人気のトーセンラーは末脚を伸ばし2着を確保したが、1番人気のジェンティルドンナは6着に完敗。次戦に見据えるドバイ遠征へ、暗雲が立ちこめた。
戦前の2強ムードを打ち砕く、値千金の逃げ切りVだった。名手に導かれ、6番人気のデスペラードが得意の淀で躍動。西日を背に力強いフットワークを繰り出し、昨年のステイヤーズSに続く2度目の重賞制覇を達成した。「いつかこういうレースをしたいと思っていた」。95年以来、20年連続JRA重賞Vを果たした横山典は誇らしげに胸を張った。
“ノリ・マジック”がさく裂した。五分のスタートから押してハナへ。ジェンティルドンナやアンコイルドを従えながらマイペースに持ち込んだ。4角から後続が殺到し、いったん2番手に下がったが、鞍上の左ムチ連打に応えてグイグイ加速。トーセンラーの追撃を3/4馬身差で封じたところがゴールだった。「楽にハナに行けたから、最後も、もっと楽をさせてくれても良かったんだけどね」と殊勲の鞍上は振り返る。
芝、ダートで計8勝を挙げる6歳馬。勝ち鞍も1800~3600メートルと、年齢を重ねるごとに戦いの舞台を広げてきた。さらには戦法の幅も増し、安達師は「まさか逃げるとは」と驚き交じりの笑みを浮かべる。「ジョッキーは完全に手の内に入れているので、乗り方はお任せしていました。昨年の有馬記念でもある程度、前に行きたかったらしいんですが、行き脚がつかなくてね」。7着に終わったグランプリのうっぷんを見事に晴らした。
今後は引き続き厩舎で調整され、天皇賞・春(5月4日・京都)へ直行する見込みだ。「いろんな可能性を持っている馬。楽しみですね」と指揮官は腕まくり。進化を続ける個性派ステイヤーが、古馬の頂点を目指して突き進む。