【チューリップ賞】プリモン夢駆ける
「チューリップ賞・G3」(8日、阪神)
最も未知の魅力にあふれる馬と言えるのではないか。プリモンディアルは新馬戦を逃げ切っただけの1戦1勝馬だが、血統などの背景がしっかりしており、いきなりのトライアル挑戦でも通用する可能性を感じさせる。強豪がそろった今回、桜戦線のヒロイン候補に一気に浮上してみせる。
キャリアはわずか1戦ながら、既に華々しい雰囲気を漂わせている。今回のメンバーで1戦1勝馬は、プリモンディアル1頭。経験値がどの馬よりも低く、難敵ハープスターを撃破するのは、常識的には容易ではない。だが、バックボーンは三拍子そろっており“ひょっとしたら…”という可能性を感じさせる。
脈打つ血が素晴らしい。父がディープインパクトで、近親に96年のダービー馬フサイチコンコルド、09年の皐月賞馬アンライバルドなどがいる血統。さらにジョッキーが天才・武豊で、トレーナーは敏腕・藤原英師。これだけ条件がそろえば期待したくもなる。
実際、指揮官は新馬戦快勝直後に「桜花賞を狙いたい」と、クラシックを意識した言葉を口にした。2走目でいきなりトライアルにぶつけてきたのも、期待の高さの表れだろう。
田中助手は「逃げて勝ったけど、ユタカさんは“タメた方が切れそう”と言っていた。素質は高いし、ここでどれだけやれるかですね」と期待を込める。2月デビューの馬が桜花賞を制覇した例はデビューからの史上最短V記録を持つ77年のインターグロリア(2月5日デビュー)以来、絶えて久しい。
この馬の新馬戦は2月16日。今回で優先出走権を獲得し、本番でVを決めるようなら、記録更新となる。歴史を変え得る良血馬のシンデレラストーリーが、ここから始まるかもしれない。