【弥生賞】ウンプテンプに運命感じる
「弥生賞・G2」(9日、中山)
天運なのかもしれない。昨年の皐月賞をロゴタイプで制した田中剛師がトライアルに送り出すのは、新馬勝ち直後の参戦となるウンプテンプ。抽選を突破して出走したデビュー戦を完勝し、中1週で挑む流れにトレーナーは運命を感じている。07年2着のココナッツパンチ以来となる、同レースでのキャリア1戦馬による本番出走権獲得となれば、皐月連覇の可能性が広がる。
ウンプテンプ‐馬名の由来は何か?と思った人は多いだろう。あまり使われない四文字熟語だが、「運否天賦」のことだ。運不運を決めるのは天命。転じて、運を天に任せるという意味がある。田中剛師は言う。
「青山オーナーが横浜で上演されていた舞台『うんぷてんぷ』の主役と友達なのが縁でこの名前に。僕も見に行きました。オーナーの転厩馬を預かったことはあったけど、新馬からは初めて。牧場で初対面した時は、ごつくてメイショウサムソンの子らしいなという印象でしたね」
さらに、膝裏の骨がとがっていた。「それが中筋とかを刺激したんでしょう。脚を痛がるから手術で削ったんです」。牧場時代は目立たなかった馬だ。ところが厩舎に来てから激変した。ゲートは3回練習しただけで一発合格。体形も徐々にスマートになった。
そして迎えた新馬戦では、期待以上のパフォーマンスを発揮。ノーステッキで抜け出し2馬身差の楽勝を決めた。スローペースとはいえ、上がり2Fのレースラップは11秒1‐11秒1。非凡なセンス、瞬発力の持ち主だ。
「新馬戦は1本追い足りなかったが、除外されずに使えた。中1週でも馬は傷んでいない」とうなずくトレーナーは、こう続けた。「全てはこの弥生賞を使うために流れてきたのでは。オーバーかもしれないが“運命的”なものを感じますね。初戦の競馬を見るとちょっと楽しみ」。2戦目で出走権を獲得すれば、昨年のロゴタイプに続く皐月賞連覇の夢は広がる。