【フィリーズR】ベルカント最内強襲V
「フィリーズレビュー・G2」(16日、阪神)
ひと回り成長して帰ってきた。2番人気ベルカントが、これまでの逃げる競馬から一転、好位から鮮やかに抜け出し重賞2勝目。本番の桜花賞(4月13日・阪神)へ向けて、大きく弾みをつけた。2着に13番人気のニホンピロアンバーが逃げ粘り、3着には6番人気エスメラルディーナが入った。3連単はレース史上最高となる175万540円の高配当。なお、上位3頭に桜花賞への優先出走権が与えられる。
ひと冬を越して、うら若き乙女は華麗な女性へと変身した。
過去4戦で見せた逃げではなく、控える競馬でベルカントが結果を残した。前日に45歳の誕生日を迎えたばかりの武豊は「きょうは馬もそうですが、厩舎スタッフの努力が大きい。馬が変わっていました。今年初戦の大事なレースで、最高の形で結果を出せて良かった」と満面の笑みで、心身ともに成長を遂げたパートナー、それをサポートした陣営をたたえた。
前半は、外からハナを主張する馬を見る形で好位の4番手。最内枠を生かし、インをロスなく運んだ。「できれば、今までと違う競馬がしたいと思っていた。馬がリラックスして、ゆったりと走ってくれたね。今までにない道中だった」。直線は、内ラチと逃げた馬の間に1頭分だけできた隙間を見逃さずに強襲。一気に後続を突き放した。
ケイコで教えてきたオンとオフの切り替えが実を結んだ。角田師も「調教もそうだが、馬が穏やかになっていたので、それが競馬につながればと思っていた。豊さんもうまく乗ってくれましたね」と納得の表情だ。昨年末は適性を考慮し、直線の短い中山の朝日杯FSに参戦(10着)したが、当時とは馬が違う。「千六に実績はないけど、これだけ折り合えたのは収穫。本番に向けていい内容で勝てた」と、力強く桜の舞台を見据えた。
チューリップ賞を制したハープスターなどライバルは多彩だが、「相手は強いが、きょうの内容なら桜花賞に向かわないといけないでしょう」と鞍上はきっぱり。1度は泣いた距離の壁を克服するべく、進化を遂げた“快速娘”が、堂々と大一番へと駒を進める。