【阪神大賞典】ゴールド貫禄の再出航

 「阪神大賞典・G2」(23日、阪神)

 昨年の宝塚記念を制した得意の仁川で、G1・4勝馬ゴールドシップが本来の強さを取り戻した。岩田と初コンビを組んだ今回は、アッと驚く2番手追走の積極策。他馬を寄せ付けず、1番人気に応えて連覇を達成した。現役最多のJRA重賞8勝目(2位はジェンティルドンナの7勝)を飾った芦毛馬の次戦はもちろん、優先出走権を獲得した天皇賞・春(5月4日・京都)。鞍上は未定ながら、昨年5着に敗れた淀の長丁場で雪辱を誓う。

 強い芦毛の王者が戻ってきた。ゴールドシップが格の違いをまざまざと見せつける圧巻の走りで連覇を達成。単勝1・7倍の圧倒的な1番人気に応えた。

 場内がざわめいた。すっかり後方からの競馬が定着していたG1・4勝馬が、初コンビの岩田に促されると逃げるバンデの2番手を早々に確保。「VTRを見て、押っつけても行かないと思っていた」と鞍上は振り返る。想定外の行きっぷりの良さに序盤は掛かり気味だったが、リズムを取り戻すと強気に攻めて4角では早くも先頭。激しい2番手争いを尻目に3馬身半もの差をつけ、昨年より一段と白さを増した馬体がゴール板を駆け抜けた。

 これで岩田は、テン乗りでは19度目のJRA重賞制覇。「最後まで止まる気配はなかった。G1馬だなと思いました。勝ててホッとしています」と、重責を果たして胸をなで下ろすと同時に、その強さに目を丸くした。

 前走の有馬記念(3着)から10キロ増の馬体は須貝師の思惑通り。「精神面やコンディションと、今浪(厩務員)が指示に応えてくれ、馬も応えてくれた。岩田君も落ち着いてうまく誘導してくれた。強いゴールドシップを見せられて良かった」とチーム一丸の勝利に表情も思わず緩む。

 次戦は昨年、1番人気で5着に敗れた天皇賞・春へ。岩田には昨年の有馬記念2着馬ウインバリアシオン(今週の日経賞を予定)もお手馬としているため「雰囲気を見ながら」と指揮官は、盾本番での鞍上に関して明言を避けた。とはいえ、今季始動戦を最高の形で飾り、5度目のG1制覇へ視界は良好。再び碇(いかり)を揚げた黄金の船は、目標へ向けて真っすぐに走り続ける。

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