【桜花賞】川田の大胆騎乗でハープV

 「桜花賞・G1」(13日、阪神)

 雪辱を果たした。単勝1・2倍の圧倒的1番人気に支持されたハープスター。騎乗した川田将雅騎手(28)=栗東・フリー=は重圧をものともせず、最後方からの大外一気という大胆な手綱さばきでG1初制覇へと導いた。昨年暮れに同じ舞台で行われた阪神JFでは鼻差の2着。その悔しさを見事に晴らした。トゥザワールドとのコンビで挑む皐月賞でクラシック連勝を狙う。2着には2番人気のレッドリヴェール。ぶっつけ参戦ながら2歳女王の意地を見せた。

 信じていた。ハープスターの能力を、その末脚を。川田は最後方で直線を向いても、全く慌てることはなく大外を選択した。逃げたフクノドリームは、20馬身以上も先。全17頭が前にいた。満を持して左ステッキを抜くと、上がり3F32秒9の鬼脚を披露。昨年、唯一の黒星を喫したレッドリヴェールらをまとめて飲み込むと、鞍上はパートナーをたたえるように左手で優しく愛撫(あいぶ)した。

 「ホッとしましたね。これだけの馬に乗せてもらっていますし、結果を出せて良かったです」と単勝1・2倍の支持に応え、安堵(あんど)の笑みを浮かべる。「いつも通りの位置でリズムを取り、この子が一番いい脚を使えるようにと思っていました。ゴールまでに全部つかまえられると思ったし、“ヤバイ”と考えた瞬間はなかった」と言い切った。

 昨年末の阪神JFでは、鼻差の2着。「非常に申し訳ないことをしました」と、責任を一身に背負った。ただ、時間は巻き戻すことはできない。敗戦を引きずることなく、新たな栄冠だけを見据え、気持ちを切り替えた。

 「僕自身、新馬戦から乗せてもらった馬でクラシックへと向かうのは初めて。本当に毎日、勉強させてもらっていますし、ジョッキーとしての喜びが大きいですね」。皐月賞には、同じくデビューから手綱を取る4連勝中のトゥザワールドで臨む。貴重な経験を糧に進化を続ける28歳は、2週連続クラシック制覇の偉業に挑戦する。

 表彰式で川田は、天高く人さし指を突き上げた。「これだけの馬だし、そういう思いで、まず1本指を立てました」。ハープスターにとってはG1初制覇も、まだ栄光の序章にすぎない。「強い勝ち方をしたし、負けられない馬になりました。一戦一戦、勝つしかない。現時点で同世代の女の子では1番強いと思いますし、そういう自信を胸にやっていきたい」。2冠目、そして世界挑戦へ。人馬の夢は無限に広がっていく。

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