【皐月賞】ボニータ超抜、まず一冠へ
「皐月賞・G1」(20日、中山)
隙のない仕上げで“1冠獲り”をアピールした。関東期待のイスラボニータは16日、美浦Wで矢のような伸びを披露。2月の共同通信杯以来の実戦でも、重賞連勝中の勢いに陰りは全く見られない。トーセンスターダムは栗東CWで申し分ない反応を誇示。無傷V4での戴冠へ、武豊は手応えをのぞかせた。また、休み明けを叩かれた2歳王者アジアエクスプレスも上積みは十分だ。
まずは1冠獲りへ、存在感を存分にアピールしてみせた。関東の大将格イスラボニータが、美浦Wの最終追い切りで抜群の動きを披露。栗田博師は「先週の段階で息はできているし、きょうもいい調教ができた。動きそのものは文句なし」と万全の態勢を強調した。
これが重賞2勝馬の脚さばきだ。僚馬シベリアンタイガー(3歳500万下)の6馬身ほど後方でスムーズに折り合い、馬任せで徐々に差を詰める。見せ場はそこからだ。4角で内に潜り込むと、ゴーサインを待っていたかのように鋭く反応。食い下がる相手を矢のような伸びで抜き去り、5F66秒3‐36秒7‐11秒7を記録した。
その姿に、双眼鏡とストップウオッチを手にしていた指揮官の表情が思わず緩む。「力んでいないし、本当に気持ち良さそうに走っていた。あの反応なら十分。見た目以上に体に幅も出たし、たくましいよね」。前走後に3週間の放牧を挟んで帰厩。仕上げには寸分の狂いもないようだ。
東スポ杯2歳S‐共同通信杯と重賞を連勝し、ここまで5戦4勝。一戦ごとに進化を遂げてきた。今回は初の右回りに距離延長、荒れた馬場と克服しなければならない課題はあるが「調教の動きから回りは大丈夫。あとは力関係。初対戦の馬が多いけど、かえって白紙の状態で戦えるからいいんじゃないの」。厩舎としては98年高松宮記念(シンコウフォレスト)以来遠ざかっているG1制覇。そして何より悲願のクラシックVへ期待は大きい。
デビューからコンビを組む蛯名も手応えは十分だ。「前脚を真っすぐに伸ばしてもバランスのいい走りができる。今までに乗ったことのない、独特のフットワークの馬。ここで上手に走れて、結果を出せたら最高。課題はあるが、少しずつ大人にもなっているし楽しみ」。関東の雄から、いざ“全国区”へ。イスラボニータが待ちに待った大舞台に立つ。