【ボート】伏島 箱根駅伝の経験胸に
3月末に「やまと学校」(福岡県柳川市)を卒業したボートレース第114期生27人(うち女子6人)が、5月から全国各地で続々とプロデビューを果たす。新たなる世界でトップを目指す新人の中から、箱根駅伝出場経験のある伏島祐介=東京・B1=にスポットを当てる。
戦いの場は、陸の上から水上へ‐。ボートレース第114期生として、5月の多摩川(5月19~22日)でデビューを果たす伏島祐介。彼は、箱根駅伝走者という“異色”の経歴を持っている。
12年1月2日、“山の神”柏原竜二が区間新記録を樹立し、東洋大学の往路優勝に沸いた芦ノ湖。その翌日、名門・山梨学院大学の伝統のブルーのユニホームを身にまとい、山下りの6区を走ったのが伏島(区間18位)だ。
高校時代に始めた陸上。インターハイにも出場し、箱根も意識。そんな中「直接は関係ないかもしれないけど、なにかプラスになるものがあると思って」と、自動車整備士など多数の資格を取得。その時点で、実はひそかにボートレーサーへの道も同時に進行させていた。
栃木県出身だが、桐生ボート場へは電車で30分以内。中学生の時、初めて見に行ったその瞬間、心をわしづかみにされた。迫力、スピード、音…すべてが衝撃的だった。そして、ぼんやりとした形ではあったが、その時から常に『将来の自分』をそこに見ていた。
「勝負の世界で生きたかった」と言うように、大学卒業後の進路に、サラリーマンという選択肢はなかった。陸上か、ボートレーサーか‐。もちろん当時の仲間には、実業団に進み、陸上を続ける者も多い。しかし、伏島が選んだのはボートレーサーだった。
やまと学校へは一発合格。厳しいと言われる養成所生活にも「大学時代の方が断然厳しかった」と苦笑い。名門校の体育会で過ごした時間は、伏島にとって大きな強みだ。「精神力や忍耐力では同期に負けない。それだけの経験をしてきましたから」と力強く語る。
「同期の仲間とともに強くなっていきたい」。駅伝経験者の伏島らしい言葉だ。プロとしての戦いは、今までのようにタスキをつなぐ仲間はいない。しかし、114期の仲間とつないだ“心のタスキ”をしっかりと握り締め、今度はボート界の頂を目指す。