【ダービー】ラグーン大久保師最後飾る
「日本ダービー・G1」(6月1日、東京)
ゆかりの血統でラストダービーへ。ショウナンラグーンを管理する大久保洋吉調教師(69)=美浦=は来年2月いっぱいで定年を迎える。平地G1・7勝を誇る名伯楽が最後のダービーで送り込むのはショウナンラグーン。祖母のG1・5勝馬メジロドーベルと同じ騎手、厩務員で競馬の祭典に挑む。
美浦の重鎮が、視線を少し上へ上げながら口を開く。「別格のレース。出させてもらえるのはうれしい」。遠くを見つめ、流れた月日の重みをかみしめる。大久保洋師が挑む最後のダービー。厩舎を代表する名牝メジロドーベルの孫にあたるショウナンラグーンが、競馬の祭典のチケットをトレーナーにプレゼントした。
競馬はブラッドスポーツ。血統が織りなすドラマは間違いなく存在する。97年オークスなどG1・5勝を挙げたドーベルの第1子、第2子はデビューに至らなかった。未勝利脱出が目前だった第3子メジロアレグレットはレース中の故障で安楽死。ショウナンラグーンの母メジロシャレードが第4子。「ドーベルの子では能力が一番高い。いいところまでいける感触はあった」と将来を有望視していた。だが、08年新潟2歳Sへ向けて調整中、落雷に驚き腰を負傷。わずか2戦で引退した。「ビックリした。まさかこんなことが…」と次々とアクシデントは続いた。
その後、シャレードが繁殖入りしたメジロ牧場が11年に解散。「どうなったかなと思っていたら、セレクトセール(12年)にシャレードの初子が出ていたんだ」。付き合いの古い国本哲秀氏に頼み込んで落札した。
思い入れのある黒鹿毛の素質馬は、青葉賞で豪快な追い込みを決めてダービー出走権を獲得。前走後も好調をキープしており、いざ本番へと向かう。「折り合いがつけばいい脚を使う。チャンスはある」と期待を込めた。