【宝塚記念】ゴールド初連覇へ絶賛デモ
「宝塚記念・G1」(29日、阪神)
横山典&ゴールドシップが25日、3週連続の合体。呼吸をピタリと合わせ、栗東坂路を力強く駆け上がった。コンタクトを重ねるごとに、人馬の信頼度は確実に深まり、レース史上初の連覇へ向けての自信もまた深まっている。一方、ドバイVからの凱旋レースとなるジェンティルドンナは栗東坂路を快走。遠征の疲れが残った昨年3着時とは違い、抜群の気配を示している。なお、出走馬と枠順は26日に確定し、馬券は28日に前日発売される。
人馬の呼吸が見事に同調して、美しいハーモニーを奏でた。名手・横山典がまたがり、栗東坂路を駆け上がった芦毛の怪物・ゴールドシップ。その姿は、光り輝く黄金の船というより、優雅にクルージングする豪華客船を思わせた。4F53秒5‐38秒4‐12秒2。きれいな尻上がりのラップを刻み、最終デモを打ち上げた。
「動きは良かった。本当に順調。それに尽きる。初めて乗った時は馬も自分も手探りだったが、打ち解けてきたんじゃないかな」。3週連続で志願の騎乗となった横山典が目尻を下げる。見守った須貝師も納得の笑みで「何も言うことはないよ。会話していたかのごとく、息がぴったり合っていた。素晴らしい動き」と絶賛した。
ブラヴィッシモ(2歳新馬)を先行させての併せ馬。促すことなくゴールドのリズムで走らせると、そのうち馬の気分が乗ってきた。大きく四肢を伸ばすと、相手を楽にパスして2馬身先着。あらがうシーンなど一切見せず、ダイナミックな動きで駆け抜けた。
「賢い馬」。横山典はゴールドシップを、こう評する。だから気持ちを損ねないよう、細心の注意を払ってコンタクトを図ってきた。何度も首筋をなでて、積極的にコミュニケーションを取る。そして3度のコンタクトで、一度もムチは使わなかった。「叩く意味なんてないでしょう」。こうした馬最優先の気持ちが通じて、まるで主戦騎手のように人馬の息が合ってきた。
あとはレースで持ち前の怪力を示し、レース史上初の連覇を成し遂げられるかどうか。「ライバル関係うんぬんよりも、僕とゴールドシップ次第。走りやすい雰囲気に持っていけるか」。ささいなことで気を曲げる馬だが、恐らく天才肌の横山典なら大丈夫だろう。今のムードなら、きっと強い時の姿が見られるに違いない。