【七夕賞】“癖馬”スバル波乱起こす
「七夕賞・G3」(13日、福島)
激しい気性を闘争心に転化させて、一発を決めるか。グランデスバルが近走のパターン通り「追い切り時計なし」で重賞初Vへ挑戦する。美浦南A以外の馬場入りを拒否する一頭ながら、陣営の試行錯誤によりプール調教の導入で素質を開花させてきた。その性格と脚質から、93年覇者ツインターボを連想させる“癖馬”が、みちのくのファンを韋駄天(いだてん)ぶりで魅了する。
グランデスバルが追い切りを行わず重賞に挑む。連闘でもない馬が追い切り抜きで出走するのは異例。“やらない”のではなく、“できない”のだ。星野師は「今年になってから気難しさが増して、今は南のAコース以外は入るのを拒否する。あそこでは追い切りができない。仕方なくプール調教を取り入れた」と説明する。
ホッカイドウ競馬で5勝を挙げて中央に再転入。昨年後半に連勝して軌道に乗りかけた。突然の“気性難噴出”に関係者は困った。それでもプール主体の調教に変えてからも2、2、1着と結果を出した。前走の目黒記念は9着だが逃げて見せ場をつくった。今の調整方法が合うのだろう。
トレーナーは「プールでは水、金、日曜に直線を5回泳がせる。プールでも回るコースは拒否するんだ。水圧を上げたり工夫したらトモの筋肉が条件馬のころとは違ってきた。心肺機能も上がったと思う。どんな競馬もできるし楽しみはあるよ」と大駆けを期待する。
JRA創設60周年記念の七夕賞。福島競馬場をイメージさせるファン投票選出馬は、93年の同レースを逃げ切ったツインターボだ。同馬を育てた笹倉武久元調教師は「気難しくてゲート試験合格までに4カ月もかかった。その分、足腰が鍛えられた。はまった時は痛快だったね」と懐かしむ。気性難に逃げ脚質‐グランデスバルとは共通点がある。たとえ逃げなくても3角先頭の積極策。“カウンター攻撃”が決まるか。