【セントウルS】リトルゲルダ逆転女王
「セントウルS・G2」(14日、阪神)
夏の上がり馬が、逆転で王者の座を射止めた。サマースプリントシリーズ最終戦を制したのは、北九州記念に続く重賞連勝となった4番人気のリトルゲルダ。シリーズ王者に輝くとともに、この勝利でスプリンターズS(10月5日・新潟)への優先出走権を手にした。一方のサマーマイルシリーズは2番人気のクラレントが6つ目の重賞タイトルを獲得し、シリーズ王者に。騎乗した田辺裕信騎手(30)=美浦・小西=がサマージョッキーズシリーズを制し、11月29、30日に行われるワールドスーパージョッキーズシリーズの出場権をゲットした。
勢いは本物だった。北九州記念で初重賞Vを決めたリトルゲルダは、その前走と同じ1枠1番から好位の6番手で流れに乗った。前半3F通過が32秒9。近10年で最も速いペースにも動じることはない。4角から冷静に外へ進路を取り、直線は先に抜け出したハクサンムーンとの一騎打ちに。200メートル以上続いたデッドヒートを、最後は丸田のこん身の左ステッキに応えて振り切った。
重賞連勝を決め、逆転でサマースプリントシリーズのタイトルもゲット。鞍上の声も弾む。「うれしいです。そのひと言に尽きます。相手よりも手応えがあったし、かわせると思った。シリーズ3戦目で一番状態もいいと聞いていたし、自信を持って乗りました」と力強く言い切った。
「最高にうれしい」と満面の笑みを浮かべたのは鮫島師。厩舎にとっては3日に登録を抹消し、種牡馬入りした12年パドトロワ以来2年ぶり2度目のシリーズ制覇。「これも何かあるよね。もともとパドトロワとともに短距離で頑張ってくれたらと考えていた。この馬は気持ちが強いし、大きいところに行ける馬だと思っていたんだ」とうなずいた。
今回の勝利でスプリンターズSの優先出走権も手にした。指揮官は「夏に3回使ったし、まずは様子を見てから」と話したが、無事ならば当然、大舞台に向かう見通しだ。パドトロワが11年2着、12年8着、13年15着と届かなかった勲章。丸田は「G3、G2と連勝したし、次はG1。精いっぱい頑張ります」と力を込めた。新たなヒロイン候補が、先輩の思いも胸に、一気に短距離界の頂点を目指す。