【菊花賞】ダービー馬オンリー2冠デモ
「菊花賞・G1」(26日、京都)
ダービー馬のワンアンドオンリーが22日、栗東坂路で力強い動きを見せた。秋初戦の神戸新聞杯(1着)の最終追い切りでは半馬身遅れた僚馬に、本番の今回は2馬身先着。「前走よりも格段にいい」と横山典も十分な良化を感じ取った。自慢の勝負根性と末脚で、73年タケホープ以来の“ダービー&菊花賞2冠制覇”を成し遂げる。なお、きょう23日に出走馬と枠順が確定し、馬券は24日に前々日発売が行われる。
確実な良化を伝えるパフォーマンスだった。普段から調教では派手な動きは見せないことで知られる、ワンアンドオンリーの栗東坂路での最終追い切り。だが、この日は違った。2冠制覇へ完璧なデモンストレーションだ。
鞍上には美浦から駆けつけた横山典。レースが近いことを察知したか、ダービー馬は躍動感にあふれるアクションを披露した。ダノンマックイン(6歳1000万下)をパートナーに、前半から活気のある動きでウッドチップを巻き上げる。馬場整地前で時計のかかる時間帯だった分、ゴール前は脚が上がり気味で1Fの時計は13秒4を要したが、秀逸だったのは道中の反応の良さ。同じ相手に半馬身の後れを取るなど、動きに物足りなさが残った神戸新聞杯時とは雲泥の差と言っていい。
「前走よりも格段にいいです」。追い切りを終えた横山典が胸を張る。周囲の目にも、状態の良さが伝わってくる。手綱を取った名手が自信を抱くのは当然だろう。「どちらかと言えば(レースを)使って良くなるタイプだからね。前走は休み明けの分、ケイコの動きも良くなかったが、1回使ってグンと良くなった」と主戦はきっぱりと言い放った。
トライアルの神戸新聞杯は勝負どころから一気に脚を使い、直線では完全に2着馬サウンズオブアースにかわされそうな体勢になりながらも、抜かせることなく頭差で抑えて勝利。ダービー馬としての貫禄と勝負根性を十分過ぎるほどに見せつけた。
「乗っている方がヒヤヒヤしたが、あの状態で最後にもうひと伸びするところが、さすがダービー馬です」
鞍上を納得させる形で、前哨戦をVで飾った。前走の追い切りでは感じさせた物足りなさも、実戦を使われた効果でしっかりと埋めた。まさしく万全の態勢と言っていい。「順調にきているので、あとはこの馬の力を引き出せれば」。2冠奪取へ、視界は限りなく広がっている。