【ボート】西川昌希、若手の波起こす
昨年は、ボート界の頂上決戦となるSG・グランプリで、27歳・茅原悠紀(岡山)が頂点に立った。ボート界は確実に世代交代の波が押し寄せている。新年・2015年に飛躍が期待される若手の筆頭として、昨年V5と一気に才能が開花した西川昌希(24)=三重・104期・A1=を注目した。
昨年、西川昌希という名を覚えたファンも少なくないだろう。4月、桐生一般戦での初優勝を皮切りに、一気にVを量産し、躍進を遂げた24歳。井口佳典や新田雄史、安達裕樹に続き現れた三重支部のホープだ。デビューは09年5月。デビュー期にF2など、事故点に苦しんだものの、B2を4期、B1、A2をそれぞれ3期ずつでクリアし、A1級に昇格。A1で2期目となった前期は自身最高の7・08という勝率を記録した。
昨年は14回優出で5回の優勝。ただ、初優出から初優勝までには11回の優出を要した。「それまで優勝戦1号艇で乗っていたわけではなかったし、それなりに走れている自信があったので焦りはなかった」と本人は冷静に振り返る。「1度優勝してからは、さらにリラックスして臨めている。見えない部分で気持ちの余裕ができたのかもしれない」と精神面での落ち着きがその後のV量産へとつながった。
エンジン調整のうまさも目に付く。「自分はペラよりも、外周りと本体整備で調整を合わせている」とコンスタントにパワーを引き出せる整備、調整力はかなりのレベルと言ってもいいだろう。そして、そのパワーを生かした豪快なターンも魅力的だ。魅せるレースの根底は「お客さんに買ってもらっている意識を大事にしている」と語る。「もちろん1着、最低でも舟券に絡む意識を持ってレースには臨んでいます。たとえそのレースで結果が出なかったとしても、買ってくれたお客さんが、次に出た時に『また西川を買ってやろう』って思えるようなレースを心がけています」とプロ意識も高い。
「記念に定着したいです。一般戦で5回優勝できたけど、量より質を意識していかないといけないと思う」。今年の目標はもちろん、もう一段階上のステージで戦うことだ。これまでは一般戦や「ルーキーシリーズ」が主戦場。G1戦は9月のヤングダービー1度のみ。その節では3勝を挙げ存在感を示したが、まだ全国区へは道半ばだ。
「上のクラスの人たちはテクニックで大差があるとは思わないんです。どのコースからでも勝負ができて、ここぞという時に勝つ。そんな勝負強さを身につけたい」とさらなる飛躍へ向け闘志を燃やす。昨年のグランプリは99期の茅原悠紀が優勝。着実にボート界に世代交代の波が押し寄せている。ボート界の新たなヒーローとなる可能性を秘めている西川。2015年は記念戦線での大暴れに期待だ。