後藤JRA理事長インタビュー【2】
昨年はJRA創立60周年の記念の1年として盛り上がった中央競馬。さらなる飛躍を目指す今年は、4日の中山・京都金杯で幕を開ける。昨年9月12日付で第15代・JRA理事長に就任した後藤正幸氏(63)に、今年の抱負を語ってもらった。
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-ファンサービスについて。昨年は記念の年で、ダービーウイーク、有馬記念ウイークなどでいろいろなイベントを行いました。
後藤「例えば競馬場ごとに60周年記念の競走を設けて、それをきっかけにさまざまな企画を展開しました。幸いにして、そのレース当日はたくさんのお客さまに来場していただけましたし、楽しんでいただけたのかなと思っています。また競馬の持つ文化的な面として、秋の天皇賞の時に、東京競馬場の競馬博物館で英国ジョッキークラブの秘蔵絵画展を開催しましたが、通常の倍以上の来館者がありました。英国内でも一般の人がなかなか見る機会のない貴重なものばかりで、競馬の持つ文化性、歴史ということにおいて重みがあったなと思っています。また英国ジョッキークラブが、そういう貴重なものをJRAに貸し出してくれたということも、JRAとの関係を象徴したひとつの出来事だと言えますね。それを多くの競馬ファン、または一般の方に見ていただけたのは大変良かったと思っています」
-今年はどのようなことを考えていますか。
後藤「2015年は、1年間“あなたの競馬が走り出す。”というキャッチコピーの下に、新たな企画を展開していきます。基本的には老若男女、あらゆる階層の人たちに競馬を楽しんでいただきたい。キャッチコピーはまさに、私たちの経営の基本方針を表したもので、お客さまとともに競馬を盛り上げていきたいということです。今年は京都競馬場が開設して90年、新潟競馬場も60年、さらに有馬記念が60回目を迎えます。それぞれの節目のなかでどんな取り組みが必要か、もう少し時間をいただきたい。その都度、具体的なことはご案内していきますので“どうぞお楽しみに”ということで、よろしくお願いします。日頃、中央競馬を楽しんでいただいているお客さまに、どうやったら感謝の気持ちが伝わるのか、工夫をしていきます」
-12年から「UMAJO」がスタート。東京、京都競馬場などには「UMAJOスポット」が登場し、女性ファンの開拓にも役立っています。
後藤「JRAの女性職員だけで発足しました。女性の視点から、どうやったら女性に競馬の楽しさを伝えられるかというものですが、それなりの成果を収めているようですし、これも継続していくことが大切だと考えています。ただ先ほども言いましたが、ファン層の開拓という意味では、あらゆる階層の人に参加してもらいたいと思っています。もちろん若い人や女性も大切ですが、新たなシニア層にも広げていきたい。定年後もまだまだお元気な方がたくさんいらっしゃいます。そういった方々にも競馬の楽しさを伝えていきたいですね」(【3】につづく)