【AJCC】カイザー大金星!重賞初V

 「AJCC・G2」(25日、中山)

 単勝1・3倍と断然の1番人気に支持されたゴールドシップが末脚不発で“まさか”の7着に敗れるなか、大金星を挙げたのはクリールカイザーだった。早め先頭から堂々と押し切り、待望の重賞初V。相沢師と田辺のコンビは、昨年のヴェルデグリーンに続きレース連覇となった。2着はこちらも前々で運んだミトラで、3着はエアソミュール。3連単は16万馬券となった。

 作戦が見事にはまった。4番人気のクリールカイザーがスタートから果敢に先頭を奪う積極策で重賞初V。3角ではいったん先頭を譲り、4角手前から一気に仕掛ける味な競馬で金星をつかんだ。

 主戦の吉田豊がショウナンラグーンに騎乗。代打騎乗となった田辺はしてやったりの表情だ。「着を拾うのではなく、ゴールドシップを負かすつもりだった。そのために先手の主張は考えていた」。G1・5勝馬に勝つためにはどうしたらいいのか。練りに練った作戦は積極的な競馬でバテない強みを生かし、相手の末脚を封じることだった。相沢師も「あの馬を倒すためには前で競馬をするしかないからね。騎手がその通りに乗ってくれた」と殊勲の鞍上をたたえた。

 騎手、トレーナーともに強い思いで臨んだ一戦だ。同じコンビで1年前のこのレースを制したヴェルデグリーンが、昨夏に腸閉塞(へいそく)を発症してこの世を去った。主戦を務めた田辺が「活躍を期待していた馬。それだけに残念だった」と振り返り、「今回は弔い合戦だったからね」と指揮官も感慨深げにうなずく。二人にとっては単なる連覇達成ではない。忘れられない勝利となった。

 今後は日経賞(3月28日・中山)から天皇賞・春(5月3日・京都)の古馬王道路線へ。田辺は「胸を張ってG1へ行けるでしょう」と、29戦目にして重賞タイトルをつかんだ6歳馬に太鼓判を押した。志半ばで急逝した僚馬の思いを背負い、次はG1の大舞台での金星を目指す。

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