【ボート】土屋幸宏は元新聞記者
ボートレーサーへの道。ボートレーサーになるためには「やまと学校」に入学しなければならないが、かつては21歳未満と厳しい年齢制限があった。しかし、2009年入学(106期)から、上限が30歳未満に大幅に緩和された。そのため近年は社会人を経験して入学する転職組が増えた。高収入を得るため、あるいはアスリートとしての可能性にチャレンジするため…。強い意志と努力があれば、年齢など関係ない。迷わず行けよ、行けば分かるさ。
ボートレースが身近に存在したわけでもない。他人よりも秀でた運動神経があったわけでもない。ただ“やる”と決めたら振り向かない。土屋幸宏(31)=埼玉・109期=が真剣にボートレースと向き合ったのは25歳のとき。「そこからスタートしても決して遅くない。僕がいい例です」と元新聞記者は笑った。
早稲田大学人間科学部情報科学科卒。実は中学時代に騎手試験にチャレンジしたことがある。その後は競馬に興味を持ち、スポーツ紙は手放せなかったという。それが転じて卒業後は新聞記者になろうと決めた。
大手通信社をはじめ数社受験したが、一番先に内定通知が届いた北海道新聞社に入社。見出しをつけたり、紙面のレイアウトを行う整理部を経て伊達支局へ。そんなとき、自紙の夕刊に『ボートレースの受験資格緩和。30歳未満まで可能』の記事が目にとまった。
「たまたま一般紙に入社したが、スポーツには興味があった。ただ、運動歴は野球を少しやっていた程度。体力はあまり自信がなかったので、受験するなら中途半端な気持ちじゃ駄目だと思って」と退職届を出すと同時に、以後は毎日ジム通い。おかげで半年で握力10キロ以上、垂直跳び20センチ以上、背筋力も50キロはアップした。そのかいあって109期に一発合格。
「体力に自信がないと思う人は、まずその線引きを取っ払ってほしい。僕は半年間でゼロから体をつくった。20歳代も半ばになって初心者が目指せるプロスポーツはこれしかない。一度しかない人生だし、後悔したくなかった。あのとき思い切った決断をして良かったと思ってます」