【セントライト記念】ブラック粘り勝ち
「セントライト記念・G2」(21日、中山)
ひと夏を越して確かな成長を見せつけた。演歌界の大御所・北島三郎の所有馬で、6番人気のキタサンブラックが直線早め先頭からそのまま粘りこみ快勝。重賞2勝目を飾り、ラスト1冠へ弾みをつけた。逃げ粘った2着ミュゼエイリアン、激しい3着争いを制した3着ジュンツバサまでが、菊花賞(10月25日・京都、芝3000メートル)の優先出走権を獲得。ダービー2着馬で1番人気に推されたサトノラーゼンは7着に敗れた。
菊の季節に祭りを起こす。皐月賞3着馬キタサンブラックが積極策から抜け出してV。後続の追撃をしのいで、ダービー14着以来となる秋の始動戦で反撃ののろしを上げた。
1000メートル通過が61秒1と緩めの流れを2番手から展開。4角で早めに逃げ馬をとらえて先頭へ立つと、最後は鞍上の激しい叱責(しっせき)に応えてしっかりと伸びた。「緩いペースで行きたがっていたけど、最後まで頑張ってくれました」。コンビを組んで3勝目となった北村宏は、長所でもある相棒の踏ん張りをたたえた。
この日は休み明けで、デビュー以来最高体重となる532キロでの出走。鞍上が「夏を越して実が入りドッシリしました」と確かな成長に目を細めれば、清水久師も「(12キロの)増加分はほぼ成長分。今回はかなり調教を積んだのですが、馬がよく辛抱してくれました」と胸を張った。
次はもちろん菊花賞、3000メートルの淀の長丁場へ向かう。母父が短距離王サクラバクシンオーということもあり、距離の壁が見え隠れするが、主戦は「自分のリズムで行ければ大丈夫」と力強くうなずいた。
2冠馬ドゥラメンテ不在で混戦模様の牡馬クラシックラスト1冠。春に王道を歩んだ実力馬が、演歌の花道ならぬ、栄光の花道へと一直線に突き進む。