【菊花賞】スティール文句なし1秒先着
「菊花賞・G1」(25日、京都)
ラスト1冠奪取に向けて、リアルスティールが21日、栗東坂路で入念な攻めを行った。骨折明けの神戸新聞杯は2着に終わったが、使って型通りに状態はアップ。2冠馬不在の舞台で力を誇示し、ディープインパクト産駒として、初の平地3000メートル超の勝ち鞍を挙げてみせる。一方、スティーグリッツも同坂路で軽快な走り。04年覇者デルタブルースと同じ九十九里特別勝ち馬が、菊2戦2勝の内田博を背に下克上を狙っている。
無冠のままでは終われない。クラシックのラスト舞台に向けて、リアルスティールが栗東坂路で折り合い重視の最終リハを行った。
序盤はアルスマルカート(7歳1000万下)の真後ろにピタリとつける形でスタートし、徐々にギアを上げて並びかける。残り2Fでグッと前に出ると、あとはパートナーを引き離す一方。1秒の大差先着で4F53秒6-39秒0-12秒6。文句なしの“A”評価だ。
またがった福永も納得の表情でうなずく。「タイム、動きともにすごく良かった。体重はそう変わっていないそうだが、引き締まってシャープな体つき。身のこなしが前走のときとは違って良くなっている」と満足げな表情を浮かべた。
ダービー4着後に判明した左前脚第1指骨の剥離骨折は幸いにも軽度だった。順調に回復し、復帰即Vを見込んだ神戸新聞杯は上がり最速の脚を繰り出すも届かず2着。それでも矢作師は「ファンには申し訳なかったが、悲観はしていない」と前を向く。主戦は「切れのある馬が相手だと思っていたが、結果的に相手を間違えた。思った以上に逃げた馬がいい脚を使った」と敗戦の弁を語り、「どんな形であれ、勝てる競馬を」と、本番への意気込みを示した。
どの馬にとっても未知の3000メートル。福永は「血統的にも、馬のフォーム的にも距離はベストではない。前半1000メートルをリラックスして走れないと難しい」と相棒にとって難関であることを認める。その一方で「G1を勝てる馬。勝たなきゃいけない馬」と相棒のポテンシャル、底力に期待を込めた。
指揮官は「ウチの馬が実績最上位となるわけで、それなりの責任を感じている。持てる能力は十分に出せる状態だし、G1馬にしてやりたい」と鼻息が荒い。2冠馬ドゥラメンテ不在の淀。春のうっぷんを晴らすとともに、菊の大輪を咲かせたい。