【天皇賞】ヒカリ逃走失敗、力負け9着
「天皇賞(秋)・G1」(1日、東京)
スタートしてわずか10秒。9万人が詰めかけた東京競馬場がどよめきに包まれる。ハナを確実視されていたエイシンヒカリが先頭にいない。
内から主張するクラレントに譲る形で、道中は2番手を追走。直線では逃げたそのクラレントさえかわせず、残り200メートル手前では勝ち馬に楽々と抜かれて失速した。見せ場もつくれず、初G1挑戦は9着というほろ苦い結果に終わった。
検量室で武豊は淡々と口を開く。「残念ですね。前走ほどのダッシュがつかなかった。枠の差もあったかな」と序盤の攻防を振り返りつつも、敗因は別の部分にあると分析した。「2番手でも問題なくいい感じ。折り合いもついていたから」。競馬自体はスムーズだけに“力負け”を認めざるを得なかった。
前半5F60秒6の超スロー。先行有利の展開でもあっさり敗れ去った事実は重い。9戦8勝、未知の魅力も手伝って2番人気の支持を受けて迎えた大舞台。「直線では一度も先頭に立つことができないんだから。これがG1の壁なのかな」と主戦は肩を落とす。
昨年のアイルランドTでは大きく逸走しながらも勝ち切るなど、個性派として注目を浴びたディープインパクト産駒。ニューヒーロー誕生を期待された4歳馬は、いつの日か訪れるであろうリベンジの機会へ向けて出直しを図る。