ラブリーデイに始まり、終わった15年

 「2015年度JRA賞」の受賞馬選考委員会が6日に行われ、各賞が決定。15年シーズンを6戦無敗で終え、安田記念、マイルCS、香港マイルとG1で3勝を挙げたモーリスが年度代表馬に輝いた。最優秀短距離馬の受賞は98年タイキシャトル、13年ロードカナロアに続く3頭目。マイル路線の新星が大きな勲章を手にした。

 “年度代表馬=その年を象徴する馬”。個人的にはこのモーリスのほかに、最優秀4歳以上牡馬のタイトルを獲得したラブリーデイもまた、昨年の日本の競馬シーンを代表する一頭だったと感じる。年始の中山金杯(1着)から最終日の有馬記念(5着)まで年間10走し、宝塚記念、天皇賞・秋でのG1制覇を含めて重賞を6勝。ひと昔前との比較で、古馬オープン馬の年間平均出走回数が減少しているなかでの奮闘に次ぐ奮闘は立派で、1年を通して盛り上げたという点は高く評価できる。年度代表馬の記者投票数では2位に終わったが、競馬界への貢献度は負けないものがあったと思っている。

 残念だったのは5着に敗れた最終戦のグランプリ。過去に中山金杯(95年以前は東の金杯)と有馬記念を制した馬は58年オンワードゼア、62年オンスロートの2頭だけ(※西の金杯を含めると91年ダイユウサクが存在)。また、年内に9走以上した古馬の有馬制覇なら81年アンバーシャダイ以来、24年ぶりの快挙だった。Vを飾っていれば、近代競馬のアイアンホースとして後世に語り継がれる存在になっていたかもしれない。

 昨年、古馬の中長距離というカテゴリーにおける“王道G1”天皇賞・春、宝塚記念、天皇賞・秋、ジャパンC、有馬記念にフル参戦したのはラブリーデイのみ。昔とは違い、海外遠征という選択肢もあり、出走レースが多様化している時代にあって、国内に腰を据えて競馬界を盛り上げた立役者だった。年度代表馬の栄誉こそ逃したものの、15年はラブリーデイに始まり、ラブリーデイに終わった年だったように思う。(デイリースポーツ・小林正明)

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