【安田記念】スティール確かな進化
「安田記念・G1」(5日、東京)
リズミカルに、そしてパワフルに。進化したその姿をアピールするかのように、リアルスティールが1日、栗東坂路を軽快に駆け上がる。ドバイの地で得た自信を確信に変えるべく、G1連勝へ向けて躍動した。
併走相手は来週のエプソムCを予定する全兄のラングレー(5歳オープン)。兄がリードする形で始まった追い切りは程なくして弟がプレッシャーをかける形に。手応え良くしっかり踏ん張る兄に対し、残り1Fを迎えて鞍上の福永が肩ムチを入れて仕掛けたところで鋭く反応。グイグイと脚を伸ばして1馬身先着のフィニッシュだ。
全体時計は4F50秒8-36秒6-12秒0の好時計。「いつも(のレース週)よりも強めの負荷を。コンディションは非常にいいし、走るフォームがどんどん良くなっている」と鞍上は、伝わってきた感触の良さにうなずく。
これまでは1週前にびっしり追ってレース週は軽め、というのが調整パターン。だが、レースを直前に控えてさらに負荷をかけた。無理はしていないが、2週連続してしっかりと追える。心身が充実した証拠だろう。
「完成の域に近づいてきたね」とユーイチは胸を張る。「以前はハミにもたれて走る面があったけど、後肢の入りが深くなってきたから、首の使い方が良くなり、バランス良く走れるようになった。筋肉も付いてトモもパンパン。こう成長したらいいな、というイメージ通りになった」と目を細める。
昨年の三冠レースは皐月賞2着、ダービー4着、菊花賞2着。デビューから全ての手綱を取りながらG1馬へと導くことができなかった。だが、R・ムーアが騎乗して前走のドバイターフを快勝。その背中にいなかった悔しさは想像に難くない。
「自分が乗ってきた時にG1を勝てなかった馬が、ドバイで強い勝ち方をしてもまた騎乗の依頼があった。その期待に応えたいし、この馬でG1に勝ちたい」と力を込める。そして「相手は(マイルの)チャンピオンホースだし、年度代表馬。しかも(条件的には)相手の土俵。でも、楽しみしかない」。はっきりとモーリスを意識しながらも、その表情は自信に満ちあふれていた。