【札幌記念】ネオリアリズム奇襲で王者斬り モーリス2着で堀厩舎ワンツー
「札幌記念・G2」(21日、札幌)
年度代表馬を奇襲で下した。5番人気のネオリアリズムが、キャリア14戦目にして初の逃げを打って重賞初V。鞍上のルメールが存在感をアピールした。堀厩舎は北九州記念もバクシンテイオーで制し、自身2度目の同一日・JRA重賞制覇を達成。単勝1・6倍の断然人気に推されたモーリスは、僚馬に敗れる形で2着。米遠征を今秋に控える2番人気ヌーヴォレコルトは4着に終わった。
ルメールの腹は決まっていた。ためらいもなくネオリアリズムを先頭へエスコート。前半5F59秒9と速めのラップを刻んでいく。「折り合いの難しい馬だけど、逃げている時はリラックスしていたよ」と思惑通りにハミが抜け、最後は昨年の年度代表馬に2馬身差の完勝を決めた。
昨夏も札幌でコンビを組み、条件戦で2戦2勝の好相性。「ポテンシャルが高いのは分かっていたからね」と打倒・モーリスへ思考を巡らせ、下した結論が逃げの一手だ。レースの2日前、バーバラ夫人にだけは「勝つために(ハナへ)行く」と告げたという。「切り札。トライしないとね」と白い歯をのぞかせた。
大金星はいつでもリスクの裏に眠る。05年の有馬記念では追い込み馬ハーツクライを先行させ、3冠馬ディープインパクトを完封。「ここで逃げたら、次はもっと行きたがるかも」と先々の苦労を承知でバクチを打った。「夏はずっとこっちにいるから。札幌記念を勝ててうれしい」と伝統のG2を制し、素直に喜びを表現する。
むろん、堀厩舎の手腕も大きな勝因だ。北九州記念(バクシンテイオー)と日曜の2重賞を射止め、ノーザンファーム代表の吉田勝己氏も舌を巻く。「きょうは完全に仕上がっていたな」。マイナス18キロと研ぎ澄まされた馬体に、トップステーブルの実力が凝縮していた。
今後は放牧を経て、天皇賞・秋(10月30日・東京)へ向かう公算が大きい。鞍上の言葉を借りれば、次戦こそが試金石。それでも安心と信頼の堀厩舎なら、大一番でも激走の下地を整えてくるかもしれない。