降級制度が来夏廃止へ 関係者の協議本格化、抹消時期に懸念の声も

 4歳馬の収得賞金が夏番組に切り替わった時点で半額となる今の降級制度が、来夏廃止される見通しだ。JRA、日本調教師会への取材で明らかになった。廃止が決まれば、夏競馬においてファンの間では浸透している“4歳降級馬狙い”の作戦が通用しなくなる。

 降級回数は1988年の夏季番組で、2回から1回に減った。それ以前は勝って同条件に滞留する古馬が増加。反比例して高条件の在籍頭数が減り、競走数も減少。JRAはクラス移動を円滑に行う改善策として関係者と協議、実施に至ったものだ。

 今回、JRAは降級制度廃止案を提示した主な理由に(1)現状でも夏に降級馬が増えると高条件のレースを組みにくい(2)ビギナーファンには分かりにくい、を挙げる。また、降級馬の5割以上が1年以内に勝利。数字面で偏りが出ているのは確かで、競争原理にそぐわないとも言えそうだ。

 一方、調教師の間では降級廃止なら抹消時期が早まるのでは、と懸念する声も多い。意見交換のため両者間で20日、2回目の会議が開催された。調教師会のある幹部は「現時点では反対意見が多い。ただ、廃止なら高条件レースが増え、必然的に全体の賞金もアップするメリットが。それは反対できない。今後は馬主連合会、調教師会と協議を重ね、廃止の方向で決着するのではないか」と話す。制度改革への動きが慌ただしくなってきた。

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