G1・7勝の長浜師いよいよラストウィーク「巡り合いに感謝」

 JRA通算523勝(うちG1・7勝、重賞34勝、先週終了時点)を挙げた長浜博之調教師(70)が、2月末で定年を迎える。現役では角居師、池江師と並び3人しかいない、牡馬クラシック完全制覇(00年ダービー・アグネスフライト、01年皐月賞・アグネスタキオン、10年菊花賞・ビッグウィーク)を達成した名伯楽が調教師人生にピリオドを打つ。菅原泰夫調教師(70)、成島英春調教師(70)、坪憲章調教師(65)もターフに別れを告げる。

 ひとり思い、悩み、決断を下した調教師部屋。この空間で時を刻むのも残りわずかとなった。誇らしげに凜とたたずむ皐月賞、ダービー、菊花賞の3本のトロフィーを眺めながら、三冠トレーナーの長浜師が口を開いた。「おかげさまでG1を7つ勝たせてもらいましたが、馬はみんな別々。まあ、調教師の腕がないからそうなったのかもしれないが(笑)。珍しいと思う」。

 言葉の裏側に、悔しさがにじみ出る。01年クラシック。無傷の4連勝で皐月賞を制したアグネスタキオンは“三冠”を獲らなければいけない馬だった。

 二冠を目指していた5月上旬に左前浅屈腱炎を発症。突如として競走生命が絶たれた。「毎日、自分の目で見て、触診しても分からなかった」。まさに天国から地獄へ。悲痛な思いで記者会見に臨んだ。「あれ以降、追い切り直後に馬主さんへ報告するのはやめた。いいときと悪いときは紙一重。後悔は常にある」。それでも、名将の輝かしい功績は色あせない。

 盟友・河内洋とともに頂点を極めた00年日本ダービーのアグネスフライトは「自分のことよりも、彼が勝ったことの方がうれしかった」。90年桜花賞アグネスフローラ、96年秋華賞ファビラスラフイン、10年菊花賞ビッグウィーク…記録にも記憶にも残る名馬をターフへ送り出した。

 42歳での開業から、あっという間の28年。「遅く開業した割には、中身の濃い、いい競馬ができたと思う。いい人、いい馬に巡り合えた。良過ぎる競馬人生だったと思います」。晴れやかなその表情は、幾多の後悔をはるかに凌駕していた。

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