【ダービー】レイデオロV 藤沢和の悲願ルメールかなえた「良かった」

 「ダービー・G1」(28日、東京)

 日本を代表する名伯楽が、ついに“ダービートレーナー”の称号を手に入れた。2番人気のレイデオロが早め先頭から押し切ってV。14年に生まれた7015頭の頂点に立った。現役唯一の1000勝トレーナー・藤沢和雄調教師(65)=美浦=は19頭目の挑戦で悲願のダービー制覇を達成。向正面で一気にポジションを上げるルメールの競馬史に残る“神騎乗”が勝利を呼び込んだ。

 ついにダービーの神様は藤沢和師の頭上に舞い降りた。表彰式へ向かう地下道では、「オリビエ・ペリエ(タッグを組んでG1・7勝)の方がうまいと思っていたけど、やるじゃないか」とルメールの背中を叩いて祝福。「向正面で動いた時は『やめてくれ!』と思ったが、直線は後ろを待っていた。ペースを考えれば正解」と、大胆騎乗を絶賛した。

 青葉賞を圧勝した02年シンボリクリスエス、03年ゼンノロブロイが本番では完敗の2着。王道路線を歩んできた馬との間には、目に見えない壁があることを痛感させられた。それでも3歳クラシックにはこだわらず、馬の成長を待つ“藤沢和イズム”を貫いてきた。

 だが、一方で「クリスエスもロブロイも、強い馬が引退したり、故障したから(その後)チャンピオンになれたのかも」という疑念もあった。ダービーを勝たなければ沽券(こけん)にかかわるという思いが、心の片隅にあったのは間違いない。

 常々、「ダービーを勝つチャンスとは、時期が来て、それだけの馬を預かればということ」と話していた。自らが手掛けた祖母レディブロンドは、引退後にアイルランドへ渡る予定だった。吉田勝己ノーザンファーム代表が買い戻し、母ラドラーダ→レイデオロの流れに。その馬を王道路線に乗せてダービーを制覇。壮大な血統ロマンであり、調教技術の結晶と言えるだろう。

 今回、放牧先からレイデオロを5月4日に美浦へ戻した。近年はレース10日前に帰厩して競馬を使うことも珍しくないが、できるだけ長く手元に置き、自分流儀で仕上げる。それがトップトレーナーとしてのプライドだ。

 「いつかは勝てると思ったが異常に時間がかかった。いつも期待されて負けていたから、(勝てて)良かった。この1勝じゃ間に合わないくらい」。日本が誇る名伯楽は得意のジョークを交えて、悲願達成を喜んだ。

 先週のオークスに続く連勝。ソウルスターリング、レイデオロともにサンデーサイレンスの血が一滴も入っていない。今年の春クラシックは、日本競馬のターニングポイントになるかもしれない。

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