【天皇賞戦評】春レコードV、秋最遅時計Vでキタサンブラックが春秋盾制覇
過酷なサバイバルレースとなった。1着入線のメジロマックイーンが18着に降着し、プレクラスニーが勝者となった1991年以来、26年ぶりとなる不良馬の秋盾。水が浮くという表現がぴったりの、かなり走りづらい芝だった。勝ち時計2分8秒3は、2000メートルになった1984年以降で最も遅いタイムだ。
キタサンブラックはゲートで突進して出遅れ。武豊騎手はレース後に、「前へ行くことは決めていなかった」と語ったが、これは想定外だったに違いない。もし良馬場ならコースの内はあかず、前も止まらない。勝つことは難しかったのではないか。
この馬場状態により各馬は道中外めへ進路をとる形に。内をロスなく回って前の馬との距離を縮めることができ、最後の地力勝負に持ち込めた。その点では天も味方につけたと言える。
同一年の盾春秋制覇。春は3分12秒5のレコードで制し、秋は天皇賞・秋史上、最も遅い時計で勝った。舞台を選ばない、歴史に残る名馬であることを改めて証明してみせた。
2着サトノクラウンは稍重の宝塚記念をV。典型的な道悪巧者だが、今回は休み明けで万全の状態までは仕上がっていなかった印象。それでも最後までキタサンブラックを苦しめた。底力は本物だ。善戦マンのレインボーラインが3着。勝ち切れないものの、どんな相手にでも好走するキャラぶりを発揮した。