【JC】武豊1着1着でラストへ キタサンブラックと進む有終ロード
「ジャパンC・G1」(26日、東京)
いざ、再び府中の地へ-。現役最強馬キタサンブラックとコンビを組む武豊騎手(48)=栗東・フリー=が、連覇が懸かる大一番に向けて思いを語った。前走の天皇賞・秋は絶妙な手綱さばきで勝利。8日に調教中の落馬で膝の靱帯(じんたい)を負傷するアクシデントに見舞われたが、1週間の休養を経てこの舞台に間に合わせてきた。こん身の騎乗で、年内引退が迫る相棒にG1・7勝目をもたらすか。
-昨年のジャパンCは、キタサンブラックとのコンビで力強く逃げ切った。
「ベストパフォーマンスといえるぐらい強かった。あんなに離して勝った(2馬身半差)のは初めてだったからね。しっかりと最後まで走り切ってくれたと思う」
-今年はディフェンディングチャンピオンとして、連覇が懸かる一戦。秋始動戦の天皇賞・秋を制し、9着に敗れた宝塚記念のうっぷんを晴らした。
「レース後の歓声もすごかったよ。ファンは馬券が上手だよね。1番人気だったし。でも、記者には人気がない(笑)。新聞を見ても本命が少なかったもん。1回負けただけなのに」
-相棒の底力を感じ取ったのでは。
「口取りの時はレースをしてきたとは思えないぐらいケロっとしていた。あんなひどい馬場だったのに。ホント大した馬」
-改めて前走を振り返りたい。当日は過去に例を見ないほどの不良馬場だった。
「府中であんなのは経験にないよ。特に2コーナーは水たまりがあったぐらいだから。でも、返し馬でキタサンブラックにはいいな、と思った。上手に走っていたから」
-思わぬ出遅れで先行策をとれなかった。
「扉が開く前に突進して、その分遅れた。でも、慌てることはなかった」
-すぐさま他馬が避ける内めへと馬をリード。少しずつポジションを上げた。
「水が浮くような馬場。どこを通ればいいか、正直なところ分からなかった。勝負どころで内か外かと悩んで…最初は外に行きたいなと思ったけど。そう、ミルコ(サトノクラウン)の外へ」。
-ところが、ブラックは最内から抜けて直線入り口で先頭へ。
「あとから考えると、ミルコの内を突いて良かったな、って。普通はリスキーでしょ。あんな競馬は」
-徐々に馬場の内から中央へいざなうと、外にいたクラウンはたまらず内に切り返すことに。最後はライバルの追撃を首差退けた。
「勝ちタイムが2分8秒3(史上最遅)でしょ?僕自身にとっても印象に残るレースになった。レースのラスト1Fが14秒0なんて、まずないから。よく頑張ってくれた」
武豊自身は8日、栗東坂路で調教中に落馬し、膝の靱帯を痛めてエリザベス女王杯などを自重。復帰した19日のマイルCSはジョーストリクトリに騎乗した(18着)。
-ケガの箇所については。
「大丈夫。多少痛みはあるけど、騎乗に影響はないね。ギリギリ間に合ったし、馬が脚痛い、ってなるよりいいよ(笑)」
-現役最終戦となる有馬記念を見据え、ここで弾みをつけたいところ。改めて週末に向けての意気込みを。
「(馬の仕上がりについては)スタッフを信頼しているから。今回も結果を残したい。1着、1着でラストにいきたいね」