【有馬記念】サブちゃん号泣そして万感唱 「有終の美を飾って歌う」宣言通りV締め
「有馬記念・G1」(24日、中山)
劇的有終Vに、サブちゃんも思わず感涙-。悲願のグランプリ制覇を土産にターフを去るキタサンブラックの「お別れの会」が24日、中山競馬場の最終レース終了後に行われた。清水久師、武豊、北村宏、調教担当の黒岩らが見守るなか、最後は北島三郎オーナー(81)が自身のヒット曲「まつり」を熱唱。聖夜の中山に声を響かせた。
寂しさがこみ上げてきた。3コーナーの時点で涙が止まらなくなった。「これが最後なんだな」。栄光のゴールへ、最後の力を振り絞るブラック。「行け!」という心の叫びも、うまく言葉にならない。優勝の瞬間は、どう喜んだのか記憶にないほどだった。本業でも感じたことのない夢心地。放心状態だった。
「一生のうちでこんなに感動することがあるんだと。81歳で感じた」。幾多の感動を届けてきた演歌界の大御所が、思わずうなった感激の瞬間だった。
今年の年頭。「今年は『まつり』は封印します。ブラックはおそらく年内で卒業。有馬記念を勝って有終の美を飾って歌う」と宣言していた。その言葉通りの結果。武豊のエスコートでスタートからずっと先頭に立ち続ける横綱相撲を見せ、見事な有終の美を飾った。
ここ数年、オーナー自身は頸椎(けいつい)、さらに白内障の手術を受け、体調不良が続いた。そんな自分に走りで励ましてくれたブラック。「神様がくれた宝物」という孝行息子は、最後も勝って歴代G1・7勝は最多タイ。生涯獲得賞金歴代1位となる偉業まで運んできた。
レース後のお別れセレモニー。旅立つ愛馬のため、ひそかにサプライズを用意していた。15年に完成していたブラックの歌「夢に向かって」を、引退する愛馬への感謝を伝える歌詞に変更。「ありがとうキタサンブラック」としてこの日初披露した。「歌うと涙が出る」とテープでの披露だったが、5万人の手拍子とともにこの歌をバックに流れた戦績の映像を見届けると、涙が止まらなかった。
そして最後は「まつり」の大合唱。「まつり」コールを受け、中山の夕空に勝利の凱歌を響かせた。念願成就。愛馬が最後に届けてくれた大きなクリスマスプレゼントとなった。スタンドのファンも感動に惜しみない拍手を送った。
「まさか自分の馬を歌で見送るとはね。別れは寂しい。でも、これだけ走ってくれてブラックに感謝です」とねぎらったサブちゃん。そして歌声以上に大きな声で何度も言った。
「ブラック!ありがとう!」