【桜花賞】アーモンドアイ驚速V ルメール「トリプルクラウン狙える」
「桜花賞・G1」(8日、阪神)
大外一気で決めた。2番人気アーモンドアイが、無敗Vを目指した1番人気ラッキーライラックを差し切ってV。10年に三冠牝馬に輝いた、厩舎の先輩アパパネの記録を塗り替えるレコード勝ちで1冠目を奪取した。ルメールは武豊、蛯名に続くJRA牝馬限定G1レース完全制覇を達成。その鞍上が「トリプルクラウンを狙える」と言い切る逸材は、まずはオークス(5月20日・東京)で史上14頭目の春2冠を狙う。
馬名の由来は『美人とされる顔の目の形』。愛くるしさあふれるその容姿からは考えられないような、えげつない決め手をアーモンドアイが繰り出した。大外一気の豪脚に、場内から大歓声が沸き上がる。直線半ばで、無敗の桜花賞馬へ加速するラッキーライラックが満を持して先頭へ。そこへ大外からストライドを伸ばして襲い掛かった。
最後は並ぶ間もなく楽々と差し切り、さらに1馬身3/4突き抜けてのゴール。2年前のメジャーエンブレム(4着)、昨年のソウルスターリング(3着)と1番人気で2年続けて敗れていた呪縛を振り払ったルメールは、左腕を天に突き上げて勝ち名乗りを上げた。
1000メートル通過が58秒7のハイペース。一生に一度の舞台で後方2番手の待機策を選択した。「直線は真っすぐ走らせることだけを考えていた。すごい脚を使ってくれていい気持ちだった。瞬発力はアンビリーバボー!!」。マークしたラスト3Fは33秒2。レースのそれを1秒2上回り、ただ一頭だけ33秒台を記録した驚異的な末脚に大賛辞を贈る。
ひと目で見抜いた才能は正しかった。国枝師は「しまいになるほどいい脚を使う馬。初めて見たのは1歳の時。いい顔をしていてバランスが良かった」と初対面を振り返り、青写真通りに成長した姿に目を細めた。
勝ち時計の1分33秒1は、10年にアパパネが記録したタイムを0秒2上回る桜花賞レコード。その後、三冠牝馬となった前レコードホルダーも育てた国枝師は「アパパネはパワーという感じで、へこたれない馬。アーモンドは女馬のタイプ。切れの良さが身上で、調教も少しずつ加減しながらの感じ」と比較する。
次なる大舞台に向けて「オークスは直線が長いし、順調に行ってくれればね。(フサイチ)パンドラの血を考えれば、長い距離でもコントロールが利けば大丈夫。素晴らしい素質を持っているし、つぶさないようにしたい」と、トレーナーは06年エリザベス女王杯を制した母の名を挙げながら、距離克服にも自信を見せる。
ルメールが「トリプルクラウンを狙える」と胸を張る逸材。最終的にG1・5勝を挙げた厩舎の大先輩アパパネを追うサクセスストーリーは、まだ始まったばかりだ。