【安田記念】モズアスコット 連闘V 平成最後の安田記念でバンブーメモリーの再現
「安田記念・G1」(3日、東京)
9番人気のモズアスコットが、粘り込みを図るアエロリットをゴール直前で首差とらえてV。父に14戦無敗で引退した怪物フランケルを持つ良血馬が、コースレコードタイとなる1分31秒3の好タイムでG1初制覇を決めた。89年のバンブーメモリー以来となる連闘策でのV。くしくも平成最初と最後の安田記念を“連闘馬”が制したことになる。2着は5番人気アエロリット、1番人気スワーヴリチャードは3着に敗れた。
直線坂上からの激しいたたき合い。1番人気のスワーヴリチャードが少し外に寄れた瞬間を、モズアスコットを駆るルメールは見逃さなかった。“優勝請負人”がゴーサインを出すと、怪物フランケル産駒の良血馬は素早く反応。粘る2着馬を首差とらえて、コースレコードタイとなる1分31秒3の快時計で、G1初制覇のゴールを射抜いた。
先週の安土城Sから連闘策でのV。「レース前は少し疲れを心配していたが、返し馬の時に状態の良さが分かった」と、ルメールはレース前に不安が吹き飛んだことを明かす。「スタート後、他馬とぶつかってポジションが下がったが、想定内だった。(結果的に)直線ではうまくスワーヴリチャードを後ろからマークすることができた」。3、4コーナーは馬群の内めで我慢。「最後はとてもいい脚だった」と爆発的な末脚を引き出した。
登録時点では賞金順で19番目だったため、当初は安土城Sを勝って参戦するプランだったが無念の2着。しかし週中に回避馬が出て、一度はついえたかに思えたマイル王への道が復活し、89年のバンブーメモリー以来となる29年ぶりの連闘Vへとつながった。
「水曜日の朝、回避馬が出たと聞いて、素直にラッキーと思った。連闘したから勝てた。短い間隔で使うのが日本一うまい調教師だと思っている」。矢作師は自画自賛し、周囲を笑わせた。厩舎はスーパーホーネット(10年)、グランプリボス(12、14年)で安田記念での2着が3回。「やっと勝てた。東京でのG1が一番うれしい」と破顔一笑だ。
この勝利でブリーダーズCマイル・米G1(11月3日・チャーチルダウンズ)への優先出走権を獲得したが、「検疫などを考えると慎重にならざるを得ない。秋も国内専念になる可能性が高い」とトレーナー。「いずれは海外に出ていかなければいけないだろう。そちらで会えれば」と、ウエスタンエクスプレスの取材で来日していた香港メディアに向かって将来の香港遠征を予告した。
G1初出走初勝利を連闘策で成し遂げた4歳の新マイル王。大きな野望を胸に、今後は国内外のビッグレースをターゲットにしていく。