「スプリンターズＳ・Ｇ１」（３０日、中山）

　春のスプリント王ファインニードルが２６日、栗東坂路で力強い動きを披露し、ひと叩きの効果をアピール。春秋スプリントＧ１制覇に向けて態勢が整った。一方、美浦ではキーンランドＣ覇者ナックビーナスが申し分ない動きで併入。こちらも戴冠へ準備万端だ。

　時計が優秀なら、動きも絶品。春のスプリント王が仕上がりの良さを誇示した。栗東坂路に登坂したファインニードルは単走追い。四肢を伸ばした力強い走りで駆け上がった。馬場状態が悪くなった遅い時間帯を思えば、４Ｆ５２秒５－３８秒２－１２秒７の時計も上々。高橋忠師は「輸送も考えて無理しなかったけど、気持ち良く走れたと思う」と満足げだ。

　２週連続で騎乗した川田が手応えを口にする。「追い切り前の歩きが、先週よりも気持ちが入っていると思った」。手綱越しに伝わる感触を先週と比較し、「馬場の悪い時間帯。足跡を避けながらで、結果内めを走った。その分、気を抜くところがあって動きは良く見えないかもしれないけど、問題ない」と納得の表情を見せた。

　チェアマンズスプリントプライズ・香港Ｇ１こそ４着に敗れたが、今年は国内３戦３勝。高松宮記念でＧ１初制覇を飾り、秋初戦のセントウルＳもＶ発進と、勢いはさらに増すばかりだ。主戦は「Ｇ１馬らしい競馬をしてくれた」と前走内容にホッとした様子。トレーナーも「思った以上の力を発揮した。条件戦の頃は雨が降ると嫌がっていたのに、克服できた。こちらが思う以上に力をつけている」と感心する。

　狙うは史上５頭目となる同一年春秋スプリントＧ１制覇。「一番望みうる結果を出せれば」。川田がこう力を込めれば、指揮官も「賢い馬でやるべきことが分かっている。“チーム・ゴドルフィン”として、心を一つにして大きなタイトルをもぎ取りたい」と大きくうなずいた。昨年１２着の雪辱を果たし、歴史にその名を刻んでみせる。