【天皇賞】レイデオロ圧冠“相棒”導いてルメールG1・3連勝「パドックで確信」
「天皇賞(秋)・G1」(28日、東京)
絶好調の鞍上に導かれ、昨年のダービー馬が古馬最強を誇示した。2番人気のレイデオロが、自慢の豪脚で居並ぶライバルを一蹴。G1・2勝目を挙げるとともに、オールカマー優勝馬として初の同年秋盾制覇を果たした。殊勲のルメールは今秋G1・3連勝。JRA・G1年間勝利数も史上最多6勝に並んだ。2着は4番人気のサングレーザー、3着は6番人気のキセキ。1番人気のスワーヴリチャードは10着に大敗した。
並びに任せて4コーナーを回り、自然に馬場の中央へ。坂下からがっちりハミがかかると、勢いを遮るものは何もなかった。目下絶好調の鞍上に導かれ、秋盾を鋭く射抜いたのは2番人気のレイデオロ。後続に1馬身1/4差をつける完勝劇を披露した。
「この馬のことは僕がよく知っている。直線は止まらないからね。ゴールまで頑張ってくれた」と相棒をねぎらったルメールは、秋華賞(アーモンドアイ)、菊花賞(フィエールマン)に続く今秋G1・3連勝をいとも簡単に達成。「皆さん、僕の顔にはもう飽きてしまったかもしれないけれど、僕はとてもいい気持ち」と笑顔を振りまいた。
1週前追い切りで歩様を乱し、下馬するアクシデントはあったが「パドックで馬を見た時、ベストコンディションだと確信した」という主戦の言葉通り、状態への不安は杞憂(きゆう)に過ぎなかった。「これまで2着はあった。ゼンノロブロイが勝った時のダンスインザムード(04年)。縁があるから、ここは絶対に勝ちたかった」。来日当初から目をかけてくれたトレーナーへの恩義を口にした。
藤沢和厩舎も破竹の勢いだ。この土日で7頭が出走して6勝。出せば勝つ勢いの厩舎に、乗れば勝つ勢いのジョッキー。勢いをそがんとするのは、もはや無理な相談だった。天皇賞・秋6勝は、尾形藤吉元調教師に次ぐ歴代2位の記録。藤沢和師は「今回は詰めて使わせてもらって、ずいぶん体調が良かった」とホッとした表情をのぞかせ、「(年内は)もう1戦するかどうか。近いうちに相談してお知らせしたい」と話した。
使うならジャパンC(11月25日・東京)か有馬記念(12月23日・中山)。となるとジョッキーには悩ましい問題が浮上する。三冠牝馬アーモンドアイが、ジャパンCも視野に入れているからだ。「難しいね。どちらも素晴らしい馬。かち合ったら頭が痛そう」と当人は困り顔。JRA・G1年間勝利数も史上最多タイの6勝とした名手が、どの馬とどこで、そしてどこまでその記録を伸ばすのか-。馬からも人からも目が離せない秋は、一層の深まりを見せていく。