【平成有馬列伝】93年トウカイテイオー 奇跡の復活に中山が熱狂
“奇跡の復活”-。日本中の競馬ファンが驚かされたレースだった。
平成時代の有馬記念名勝負を振り返る「平成有馬列伝」。平成5(1993)年の有馬記念を制したのは、前年の有馬記念11着以来、364日ぶりの実戦となったトウカイテイオー。1年前の雪辱を果たすとともに、父シンボリルドルフ(84、85年)との同レース史上初の父子制覇を達成した。
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単勝1番人気は、その年の菊花賞馬ビワハヤヒデ。テイオーは4番人気に支持されたが、決して前評判は良くなかった。何しろ1年ぶりのレースが、G1で有馬記念。マスコミはこぞって軽視したが、ファンは見捨てていなかった。
その熱い期待に応えるかのような激走だった。道中は馬群の中団を追走し、2周目3コーナー付近から徐々に進出。直線入り口で早くも先頭に立ったビワハヤヒデに一歩一歩詰め寄ると、そこから先は2頭によるマッチレース。二度三度、馬体が激しくぶつかり合う。そして、経験で勝るテイオーが、最後は半馬身差をつけてゴールを駆け抜けた。役者が違う、と言わんばかりに。無念の左後脚骨折から1年、まさに奇跡の復活劇だった。
管理した松元省一元調教師は、こう振り返った。
「ファン投票(4位)はとても励みになりました。応援してくれているファンのためにも頑張ってほしいと、送り出しました」
多くの競馬ファン、関係者に強烈な印象を残したグランプリとなった。