【日本ダービー】浜中、悲願のダービー制覇 坂口先生と天国の祖父に感謝

 「日本ダービー・G1」(26日、東京)

 令和初の祭典は波乱の幕切れとなった。2番手抜け出しからしぶとく押し切り、同世代7071頭の頂点に立ったのは12番人気のロジャーバローズ。6度目の挑戦で念願のダービージョッキーとなった浜中俊騎手(30)=栗東・フリー=が特別手記を寄せた。

   ◇  ◇

 皆さん、やりました!ロジャーバローズでダービー初制覇。夢にまで見たダービージョッキー、しかも令和最初のダービーを勝てて、めちゃくちゃうれしいです。

 正直言って、皐月賞の上位3頭は強いと思っていましたし、特に同じ角居厩舎のサートゥルナーリアは桁違いだなと思っていた馬。僕は自分の競馬をするだけだと考えていました。ただ、さすが角居厩舎だなと思ったのがレースを迎えるにあたって、状態がとても良かったこと。今回は本当に落ち着いていましたし、メンコをつけたり、調教を工夫したりと素晴らしい厩舎力。その角居先生にウオッカ以来のVを届けられて良かったと思います。

 「最も運がいい馬が勝つ」という格言がありますが、それも実感しました。とりわけ京都新聞杯で2着をつかんだことで、この舞台に立てたのが一番の幸運だったと感じています。リオンリオンが飛ばし、離れた2番手で最高と言っていい展開。1枠1番で全くロスのない競馬ができましたし、運に助けられた部分は大きいです。

 切れ味勝負では分が悪いと思い、直線では早めに逃げ馬をかわして先頭へ。ダノンキングリーが迫っていたのは分かりましたが、もう最後は自分も必死。ゴール直後は真っ白になりましたし、本当に勝ったのかと信じられない気持ち。涙は全くなく、驚きの方が大きかったです。これからはダービージョッキーとしてより一層、頑張らないといけない、と身が引き締まる思いです。

 思えばG1勝利自体が16年マイルCS(ミッキーアイル)以来。あの時は直線で斜行してしまい、大きな迷惑を掛けてしまいました。その後は成績も低迷してしまい、苦しい時期が続きましたが、いつかまたチャンスが巡って来ると信じて頑張ってきました。

 特に感謝を伝えたいのが、ジョッキーを始めるきっかけを与えてくれた祖父です。そのマイルCS当日がお葬式だったのですが、僕にダービージョッキーになってほしい、とずっと言っていました。生きている間に見せられなかったのは残念ですが、少しは恩返しできたかなと思います。そしてもう一人、師匠の坂口(正大)先生にも感激を伝えたいです。最後になりましたが、応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。(JRA騎手)

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