【WJWC】菜七子“世界No.1女性騎手”決定戦で逆転総合V 秋に米G1参戦も
「ウィメンジョッキーズワールドカップ」(6月30日、ブローパーク)
“サンキューベリーマッチ”-菜七子が5度目の海外遠征で、ついに初勝利を挙げた。藤田菜七子騎手(21)=美浦・根本=が30日(日本時間同日)、スウェーデンのブローパーク競馬場で開催された、国際女性騎手招待競走(ポイント制)「ウィメンジョッキーズワールドカップ」に出場。見事な逆転劇で総合優勝を果たした。
悔し涙から2年10カ月。もう涙の菜七子はいない。そこにいるのは、満面の笑みに包まれた“世界女王”の勇姿だった。
世界各国から10人の女性ジョッキーが集まり、5レースでのポイントによって“世界No.1・女性ジョッキー”を争う大舞台。第2戦で2番人気のフランシスクスに騎乗すると、中団追走から豪快に差し切り、記念すべき海外初勝利を挙げたが、それだけでは終わらなかった。
第4戦は1番人気フィラデルフィアで2着に敗れたものの、総合ポイント3位で迎えた最終の第5戦。3番人気チルターンズで2番手につけると、直線で満を持して抜け出し、後続を引き離しての快勝劇。シリーズ6、1、5、2、1着の計48ポイントをマークし、何と逆転での総合優勝を決めたのだ。
海外初挑戦はルーキーイヤーの16年8月だった。英国サンダウンパーク競馬場で行われた「レディースワールドチャンピオンシップ第13戦」に招待されたものの、パドックで騎乗馬に振り落とされ、涙の競走除外に…。
師匠の根本師がよく話しているが、「菜七子は“男”だから。それに、あまり過去は振り返らないタイプで、サッパリしている」。それを証明!?するかのように、昨年はJRA女性騎手最多勝V記録更新、G1初騎乗(コパノキッキング=19年フェブラリーS5着)など、キャリアを積みながら確実に成長している。
自信と期待を胸に遠征した今回、最高の結果を残して、世界に日本の“菜七子”をアピールした。「優勝することができて、本当にうれしいです。これまでお世話になっている皆さまに、少しでも成長した姿を見せられたかなと思います。これからもひと鞍ひと鞍を大事に、自分のできることを積み重ねていきたい」とコメント。秋にはコパノキッキングで、BCスプリント・米G1(11月2日・サンタアニタパーク)参戦プランも浮上する。文字通り“がい旋”となる今週は土日とも福島競馬場で騎乗予定。みちのくの競馬ファンが、笑顔の報告を待っている。