【競輪】吉岡詩織 自衛官から女王へ-実現のとき

 今回は初めてのグランプリ出場を目指す松浦悠士(28)=98期・S1=と吉岡詩織(25)=116期・L1=をピックアップ。かつては特別競輪(現在のG1・G2)で優勝戦線を盛り上げた広島支部勢だが、1990年ごろから低迷。だが、今年に入って男女2人がグランプリ出場圏内に顔を出してきた。現在の広島支部をリードする2人が、年末へ向けての意気込みを大いに語った。

 自衛官から競輪選手に転身と異色の経歴を持つ吉岡。男子では稲垣裕之(京都)、緑川修平(福島)などの例があるが、ガールズケイリンでは彼女が初めてのケース。「兵庫県伊丹市の陸上自衛隊千僧駐屯地にいました」と敬礼しながら明かす。

 4年3カ月も国を守る仕事をこなした。当時はこれといった趣味はなく「梅田とかに遊びには行きましたけど、いつもはテレビを見るくらいで、休日は引きこもることが多かったですよ」。競輪選手を目指すきっかけは、3年前に広島帰省時。「広島競輪に菊地亜美さんが(イベントで)来るって聞いたので、足を運んでみました。そこで初めてレースを見たんですよ。すごい迫力に圧倒されました」。自転車競技未経験の吉岡だったが、自分もバンクでファンを魅了したい一心で、陸上自衛隊を退官後、猛練習に励んだ。

 18年5月、日本競輪学校に入学。外部と連絡も取れないうえ、過酷な状況でトレーニングを行うが、自衛官だった吉岡は「自衛隊の訓練を思い出したら、競輪学校の練習はそこまでキツくはなかったです」と笑い飛ばす。

 在校成績は3位。だが、デビュー後にいち早く優勝を飾ったのは吉岡だった。初戦の和歌山で完全優勝。8月の川崎でも完全優勝を飾ったことで、ガールズグランプリ2019トライアルレース(11月19~21日・小倉)出場を決めた。

 「思った以上に先行できていないです」と現状を分析する吉岡。「すぐに結果を追い求めるのではなく、力をつけたいです」と言うものの、トライアルで優勝すれば、無条件でガールズグランプリ2019(12月28日・立川)に出場できる。自衛官からケイリン女王へ-。吉岡はそれを実現するため、年末へ猛然とスパートする。

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