【ジャパンC】スワーヴリチャード復活V マーフィーJRA・G1初勝利
「ジャパンC・G1」(24日、東京)
若き天才に導かれ、3番人気のスワーヴリチャードがG1・2勝目をゲット。18年大阪杯以来、1年8カ月ぶりのビッグタイトルを手にした。鞍上のマーフィーはうれしいJRA・G1初勝利。2着に紅一点のカレンブーケドール(5番人気)が入り、3着はワグネリアン(2番人気)。1番人気に推されたレイデオロは、見せ場なく11着に敗れた。
迷いはなかった。最後の直線でマーフィーが選んだのは最内だ。逃げ馬とラチ沿いの狭いスペースを見逃さず、スワーヴリチャードをリード。絶妙な騎乗で抜け出し、栄光のゴールを射抜いた。
2週連続で追い切りに騎乗したとはいえ、レースはテン乗り。レース史上16年ぶりの道悪もあり、簡単なミッションではなかった。「どの馬について行けばいいかを判断した。前の馬のジョッキーの持つステッキは右か?左か?瞬間の判断」。今年、英国リーディングを初めて獲得し、ディアドラで英ナッソーSを制した腕は確かだった。
鞍上にとってはJRA・G1初制覇。「夢が実現した。ジャパンCは世界で有名。なかなか勝てないレースを勝ててうれしい」と声を弾ませる。「日本なら武豊さん、そして海外のすごいジョッキーの中で勝てたことがうれしい。1週間は寝付けない」。“欧州の若き天才”が、クレバーな騎乗で歴戦の名手たちを手玉に取った。
「長かったけど、ホッとしました」。昨年の大阪杯以来のG1勝ちに、庄野師は満面の笑みを見せる。レコード決着だった昨年は3着。リベンジを誓う今回は坂路追いにチークピーシズ着用など、オーナーとスタッフが一丸となって策を練った。「脚がたまる馬場。去年よりも自信があった。抜け出した時はリチャードの名前を叫び続けたけど、よく頑張ってくれた」。ダービー2着の悔しさに目を潤ませ、昨年のJC3着はアーモンドアイの強さにうなだれた。同じ府中の二四で、今度は喜びを爆発させた。
これまで惜しくも逃してきたタイトル回収にも期待がかかる。17年の有馬記念は4着、そして初の海外遠征だった今年のドバイは3着に敗れた。今後について「状態を確認し、オーナーとも相談して」と明言は避けたが、「気持ちの強さを見て取れた。決して世界は遠くないという実感が少しずつ湧いているので、チャンスがあるならという気持ちはある」と世界戦へ意欲も見せた。輝きを取り戻した5歳馬。歩む道もまた、明るく照らされていく。